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企業対応のCDPと製品LCA

メンバーズの「GX人材」による本マガジン。「脱炭素経営」を目指すために必要なプロセスや手法について、読者の皆さんとともに学びを深め、ともに歩んでいきます。この記事では企業対応のCDPと製品LCAについてお伝えします。


CDP(Carbon Disclosure Project)とは

CDP(Carbon Disclosure Project)は、国際的な環境非営利団体で、情報開示の国際スタンダード規格として2000年に設立されました。

CDPは企業に対し、二酸化炭素排出量や気候変動への取り組みについての情報を質問書を通じて収集し、その情報を公開することを通じて、健全で持続可能な経済を促進しています。

CDPの活動は世界中の機関投資家から支持を受け、年々規模が拡大しており、日本でも2005年から活動が行われています。

CDPの主な目的は、健全で持続可能な経済を促進することで、これを達成するために投資家、企業、自治体に環境に関する情報を提供し、彼らの意思決定に影響を与えています。

ここではCDPの概要とその活動、そしてLCAとの関連性について詳しく解説します。

活動の背景

温暖化の進行が人間の健康や社会インフラに影響を及ぼす可能性があり、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資が急速に成長していることが挙げられます。企業がESGに対応することが必須とされており、2023年から2026年までの各年度にさまざまな規制と政策が導入される予定です。

CDPは企業に対して質問書に回答し、その回答に基づいてスコアをつけています。スコアは8段階に分かれており、情報開示レベル(D⁻、D)、認識レベル(C⁻、C)、マネジメントレベル(B⁻、B)、リーダーシップレベル(A⁻、A)などがあり、企業の環境への取り組み度合いを評価します。

日本の企業はCDPの評価において優れた成績を収めており、CDP Aリストに選抜された企業の数は世界1位です。また、CDPの対象が2022年から拡大され、水セキュリティなど新たな項目が追加されました。日本企業の回答率は現在75%と高い水準です。

CDPのスコアは、投資家や企業にとって重要な情報であり、株価情報にも掲載されています。短期および中長期の環境への対応策も示唆されており、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資との関連性も強調されています。CDPは環境省と共催でサプライチェーン・アジア・サミット2021を開催し、環境に対する意識と取り組みを推進しています。

最終的に、ESG投資は環境、社会、ガバナンスの要素を考慮して行う投資であり、企業や投資家、政府、市民社会が協力して持続可能な未来を築くために重要です。

CDP(Carbon Disclosure Project)とLCA(Life Cycle Assessment)は、環境に関連する異なるアプローチやツールですが、企業や組織が持続可能性と環境への影響を評価し、改善するために関連性があります。以下に、両者の関連性について説明します。

CDPの活動


CDPは企業に対して質問書に回答し、その回答に基づいてスコアをつけています。スコアは8段階に分かれており、情報開示レベル(D⁻、D)、認識レベル(C⁻、C)、マネジメントレベル(B⁻、B)、リーダーシップレベル(A⁻、A)などがあり、企業の環境への取り組み度合いを評価します。

CDPのスコアリング内容


CDPは企業に対して質問書を提出させ、その回答に基づいてスコアをつけます。スコアは8段階に分かれており、情報開示レベルからリーダーシップレベルまでの評価が行われます。これにより、企業の環境への取り組み度合いを客観的に評価することができます。DPのスコアは短期と中長期の対応ステップもあり、GHG算定、水リスクの評価、再エネ調達などが取り組むべき項目です。

スコア評価の基準


評価基準は下記の通りです。

・気候変動: 温室効果ガスの削減目標、排出削減の取り組み、気候変動リスクへの対応など。

・水資源: 水の使用効率、水ストレスの評価、水資源へのリスク管理など。
CDPスコアは投資家やステークホルダーに企業の環境への取り組みを示し、持続可能性に関する情報を提供します。環境への懸念に対処するための具体的な策として、再生可能エネルギーへの移行、省エネルギー技術の採用、廃棄物削減とリサイクル、自然環境の保護、持続可能な供給チェーンの確保などが挙げられます。これらの取り組みは環境への懸念に対処し、持続可能な未来を築くために不可欠です。

・自然資源の乱用: 人間活動による森林伐採、土壌劣化、水資源の浪費などが、生態系の破壊や種の絶滅などの問題を引き起こしています。これは環境の持続可能性に対する脅威です。

・廃棄物と汚染: 廃棄物の適切な処理や汚染の問題は、生態系への悪影響や健康問題を引き起こす可能性があります。

・資源枯渇: 有限な自然資源(例: 石油、鉱物、食料)の乱用や過度の消費は、将来的な資源不足の懸念を引き起こしています。

・環境への懸念に対する具体的な策
再生可能エネルギーへの移行: 化石燃料に代わる再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱など)への移行が重要です。企業や国が再生可能エネルギーへの投資を増やし、温室効果ガスの排出を削減するための取り組みを進めています。

・省エネルギー技術の採用
 エネルギー効率を向上させる技術の導入は、環境に対する負荷を減少させる重要なステップです。例えば、効率的な照明、建物の断熱、省エネ車の普及などが挙げられます。

・廃棄物削減とリサイクル
 廃棄物の削減、リサイクル、再利用を促進することで、廃棄物処理の負担を減らし、資源の浪費を防ぎます。

・自然環境の保護
 森林、湿地、海洋などの生態系の保護と持続可能な管理が環境保護に不可欠です。企業や政府は、生態系への影響を最小限に抑えるための措置を取ることが求められます。

・持続可能な供給チェーン
企業は、サプライチェーンにおける持続可能性を確保し、原材料の調達や製品の生産において環境への影響を評価・最小限化するために努力しています。

・環境へのデータと透明性
ESGデータの収集と報告の向上により、企業や投資家は環境への影響を評価し、透明性を持たせることができます。

・規制と政策
 政府や国際機関による規制や政策(排出規制、環境税、再生可能エネルギーへの補助金など)は、環境への懸念への対策を強化する手段として重要です。

これらの策は、環境への懸念に対処し、持続可能な未来を築くための取り組みの一部です。企業、投資家、政府、市民社会が連携し、ESG要因を考慮した行動を推進することが、環境への懸念に対処するために不可欠です。

CDPのスコア向上

 
CDPのスコア向上には適切な情報開示が不可欠です。ポイントとして、スコアリングの仕組みを理解し、レポーティングガイダンスを活用することが挙げられます。また、短期と中長期の対応ステップもあり、GHG算定、水リスクの評価、再エネ調達などが取り組むべき項目です。

CDPとLCAの関連性


 CDPとLCA(Life Cycle Assessment)は異なるアプローチやツールですが、企業や組織が環境への影響を評価し、改善するために関連性があります。以下に、両者の関連性について説明します。

データ収集と情報開示


 CDPは企業に対し、環境に関連するデータを収集し、情報を開示するためのフレームワークを提供します。一方、LCAは製品やサービスのライフサイクル全体にわたる環境への影響を評価します。これらはどちらも企業や組織が持続可能性と環境への影響を評価し、改善するためという目的は同じですが、算定対象が異なります。以下に、両者の関連性について説明します。

環境戦略の策定


 CDPの情報開示を通じて、企業は環境への取り組みに関する戦略を開発できます。一方、LCAは企業が製品設計や製造プロセスを最適化し、環境に優しい製品を開発するのに役立つ情報を提供します。

レポートと透明性 


CDPの情報開示は企業の環境責任を明示し、透明性を高めます。同様に、LCAの結果は製品の環境情報を透明にし、市場競争力を高めます。

データ収集と情報開示

  • CDPは、企業や組織に対し、炭素排出などの環境に関連するデータを収集し、これらの情報を開示するためのフレームワークを提供します。これにより、企業は自身の環境への影響を評価し、報告することができます。

  • LCAは製品やサービスのライフサイクル全体にわたる環境への影響を評価します。これには原材料の調達、生産、輸送、使用、廃棄物処理などが含まれます。LCAは詳細なデータ収集を必要とし、製品の環境性能を定量化するためのツールです。

環境戦略の策定


CDPの情報開示を通じて、企業は自身の温室効果ガス排出量や気候変動への対策に関する戦略を開発することができます。CDPのスコアリングは、環境への取り組みの進捗を評価する一つの指標となります。

  • LCAは、企業が製品設計、製造プロセス、供給チェーンを最適化し、より環境に優しい製品を開発するための情報を提供します。LCA結果に基づいて改良を行い、持続可能性を向上させる戦略を策定できます。

レポートと透明性


CDPの情報開示は、投資家、顧客、政府機関などのステークホルダーに対して企業の環境責任を明示します。これにより、企業は透明性を高め、信頼性を構築します。

  • LCAの結果は製品の環境情報を透明にし、消費者が製品を選択する際に環境への影響を考慮できるようにします。製品に対するLCA情報は、市場競争力を高める要因となります。

終わりに

CDPは企業の環境情報開示に焦点を当て、LCAは製品の環境影響評価に役立つツールです。両者は企業や組織が環境に対する責任を果たし、持続可能性を追求するための重要な手段として補完的に活用されることがあります。

メンバーズのLCA算定サービス

メンバーズでは脱炭素にまつわるサービスをご提供しております。



メンバーズでは、これらのサービスをご活用いただくことで、サステナビリティに関連するリスクを軽減し、持続可能な成長を促進するお手伝いができると考えております。企業が社会的な責任を果たすだけではなく、環境や社会に対してポジティブな影響を与えるための戦略と実践を支援するサービスをぜひご活用ください。

ライター情報:TOM
(株)メンバーズ CSV本部所属。大手小売業を経て、国際協力NGOへ入職。地方創生のPMとして若者流入率県内一を獲得。”明日の農を担う100”に選定。域内循環型のプロジェクト立案実践も担う。BR・CDを経て現職。

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