サーキュラーエコノミー×DX事例5選
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サーキュラーエコノミー×DX事例5選

気候変動の影響を受けて、サーキュラーエコノミーへの取り組みはますます重要なものになっています。

サーキュラーエコノミーは、大量生産・大量消費を前提とした経済システム(リニア・エコノミー)とこれがもたらした資源・エネルギー不足や環境問題、経済成長の停滞に対するオルタナティブとして提起されました。経済活動をさまざまな段階で循環させ、付加価値を生み出すことで、経済活動と環境負荷軽減の両方を促進する取り組みです。

サーキュラーエコノミーの推進において世界的なイニシアチブを持つエレン・マッカーサー財団によると、

1.(製造過程の必然的な副産物ではなく、設計上の欠陥として)廃棄物や汚染をなくすこと
2.(再利用・修理・再生産、循環させることで)製品や素材を使い続けること
3.(養分の還元などを通じて天然資源を増やし)自然のシステムを再生すること

という3つの原則に基づいています。

日本国内でも、2000年に循環型社会形成推進基本法が公布されて以降、リデュース・リユース・リサイクルという3Rを核にした循環型社会の取り組みが進められてきました。ただし、循環型社会とサーキュラーエコノミーでは考え方が異なり廃棄物の排出を前提とする循環型社会に対し、サーキュラーエコノミーは上記の通り、廃棄物や汚染そのものをなくすことを目指しています。

こうしたサーキュラーエコノミーを実現するための方法として、DXに注目が集まっています。IoTやAI、クラウド戦略などの技術は、サーキュラーエコノミーの実現に重要な役割を果たしています。

では、DXを通じてサーキュラーエコノミーに取り組んでいくには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。この記事では海外の5つの先進事例を紹介します。

①製品パッケージを再利用する:Algramo

現在、人々は地球が自然に再生できる量の約1.75倍の資源を消費しており、2050年までに資源使用量が2倍以上になると試算されています。特にプラスチックは、世界的に見てもリサイクル率が低く、日本も深刻な課題として取り組んでいます。

こうした中、例えば製品パッケージをスマート化し、廃棄物や汚染をなくしていくことはサーキュラーエコノミー実現に向けた重要な取り組みです。

チリのスタートアップ企業であるAlgramoは、ブランドや小売業者が再利用可能なスマートパッケージを提供することで、消費者に商品を低価格で販売することを可能にしています。パッケージ流通システムでは、アプリを利用したプラットフォーム技術やIoT接続の自動販売機など、インダストリー4.0時代に即したイノベーションを実現しています。同社はユニリーバやネスレピュリナペットケアといった大手企業と取引しており、各社ブランド製品のパッケージ再利用に貢献しています。

プラスチックパッケージの20%を再利用モデルに転換することは、100億ドルの経済機会になると推定されており、パッケージの再考は、環境面での必要性に加えて、ビジネス上の重要な優先事項となっています。

②廃棄物を高精度で自動管理する:Rycycleye

廃棄物管理は、分別やリサイクル、処分に関わるサーキュラーエコノミーの要といえます。しかし、廃棄物の処理に関しては数多くの法律や規則が設けられており、これらを遵守しつつ再利用可能な素材の分別を進めるにはコストがかかります。

イギリスのロンドンに拠点を構えるRycycleyeは、AIとカメラ・センサー技術に関するロボット工学を利用し、人間の視覚を再現する形で廃棄物の流れ全体のすべてのアイテムを識別するアルゴリズムを開発しました。

この技術を用いることで、リサイクル業界では廃棄物管理の透明性、トレーサビリティをもたらすような自動検知システムを実現できるようになりました。また、リサイクルロボットを通じて廃棄物のデータを収集・機械学習することで、世界最大のデータセットの生成やより精度の高い検知を可能としています。

③電子機器を修理して使い続ける:Refurbed

コロナ禍でリモートワークの必要性も相まって、スマートフォンやパソコンなど、電子機器なしでの生活はますます想像し難いものになりつつあります。一方で、電子機器の製造にかかる環境負荷の削減は日本でも課題とされており、さまざまな取り組みがなされています。

オーストリアのスタートアップ企業であるRefurbedは、修理された中古の電子機器を取り扱うオンラインマーケットプレイスを運営しています。新品と比べ最大40%オフの安価さに加え、環境保護にも貢献できる点が消費者からの評判を呼び、オーストリアやドイツといったドイツ語圏をはじめ、イタリアやポーランドでも事業展開しています。

同社は、年間5000万トン以上発生する電子廃棄物を抑え、新製品を製造する場合よりもCO2排出量が70%少なくするという目的のもと、この事業を運営しています。また、古いデバイスや修理できないデバイスのリサイクルや、パートナー企業を通じた植林事業によって、サーキュラーエコノミー実現に向けて取り組んでいます。

④自然に優しい建設資材を生み出す:Betolar

建設業は世界のCO2排出量の38%を占める産業とされています。ただし、コロナ禍において、建物の改築や新築の建物の性能基準は大幅に引き上げられ、このことが排出量を急速に削減していくと見込まれています。また、パリ協定に関する誓約の更新にあたって、建築・建設セクターへの既存の対策の強化や新たな誓約が盛り込まれるとも見られています。こうした状況を受けて、建設業における環境負荷軽減は喫緊の課題となっています。

フィンランドのスタートアップ企業であるBetolarは、AIを活用しながら、代替建設資材を生産しています。この建築資材は、従来のセメントに比べて炭素排出量を最大80%削減しつつ、これまで通りの耐久性・強度を実現しています。

⑤地域産業に密着して取り組む:サーキュラー・マデイラ・アジェンダ

日本でも地方創生は重要施策ですが、DXを活かしつつ、地域の産業に密着した形でサーキュラーエコノミーに取り組むことで、経済振興と付加価値を実現する施策も見られます。

サッカー選手 クリスティアーノ・ロナウドの出身地で、観光業やワインの産地として知られるポルトガルのマデイラ島では、8月24日にサーキュラー・マデイラ・アジェンダとこのアジェンダを実現するためのデジタル・プラットフォームを発表しました。これは、資源の利用効率を高め、環境や人間の健康への影響を軽減し、持続可能で弾力性のある包括的な成長を促進する経済を創出するという観点から導入が決定されました。

このアジェンダは、60以上の地域団体が参加したプロセスの結果として、サーキュラーエコノミーのホットスポットとしての島の自治区の役割を強化することを目的としています。これは、市場競争力と差別化に向けて、材料の寿命と利益を延ばし、効率性と持続可能性を促進するシステムに、市民社会全体、公共団体、民間団体を巻き込むことで実現されます。また、環境への取り組みを最大化し、農業、建設、観光、社会施設など、地域経済の優先分野における新たな循環型イニシアチブの基礎を築くことを目的にしています。

そして、このアジェンダの促進のため、デジタルプラットフォームを活用する形となっています。実際の活用事例も報告されていて、例えば、庭の掃除で出たゴミから有機堆肥を作るための投資や、排水を農業灌漑やゴルフ場に再利用するといった事業が進められています。

サーキュラーエコノミー実現に向けて取り組む各事業者や自治体は、それぞれの課題に対してDXを活用したソリューションを開発・提供しています。DXを活用するポイントもさまざまですが、アイデア次第で多様なアプローチが可能であることがうかがえます。

ライター:徳安慧一
早稲田大学文学部卒業後、一橋大学大学院社会学研究科にて修士号・博士号を取得。専門は社会調査・ジェンダー研究。

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