脱炭素DX!Climate Techが注目される背景やスタートアップ企業の事例をご紹介
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脱炭素DX!Climate Techが注目される背景やスタートアップ企業の事例をご紹介

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「気候変動問題」は、世界共通の重要な社会課題です。日本も2050年までに国内の温暖化ガスの排出を「実質ゼロ」とする方針を表明しており、企業や国民は「脱炭素社会」への移行を求められています。

脱炭素化を進める上では、企業がDXを通じて持続可能なビジネス成長と脱炭素社会の創造を同時に実現する「脱炭素DX」が欠かせません。

本記事では、脱炭素DXのキーワードとして挙げられる「Climate Tech(気候テック)」に注目し、Climate Tech領域のスタートアップ企業に投資が過熱する背景や事例などを紹介します。

Climate Techとは

「脱炭素社会」への移行が求められる気運が高まるとともに、「Climate Tech」が次から次へと生まれています。

Climate Techとは、温室効果ガスの排出量削減や地球温暖化対策に適用できるテクノロジー全般を指していて、分野はエネルギー、モビリティ、建設、食品などさまざまです。

脱炭素社会実現のためにはClimate Techの進化と活用が欠かせないと言われており、スピーディーに開発を進められるスタートアップ企業が、Climate Techを牽引してイノベーションを起こし始めています。

Climate Techブームの背景

スタートアップ企業が開発に積極投資する上では、多くのケースで資金面が課題になります。ただClimate Tech領域では、投資家やベンチャーキャピタル(VC)がその重要性と有用性を評価し、資金面でのサポートを積極的に行っています。

PwCによると、世界のClimate Tech企業の資金調達額は2020年6月~2021年6月で875億ドルに達し、前年比210%増を記録しました。

実は2000年代中頃にも、環境に負荷を掛けず気候変動対策に役立つ新技術を開発する「クリーンテック」領域のスタートアップ企業への投資ブームがありました。しかし、当時は多くの事業が道半ばで破綻し、投資された金額の半分ほどが回収に至らなかったと言われています。

こうした過去の事例があるにもかかわらず、なぜ再びClimate Tech領域の投資が盛り上がっているのでしょうか。

一番の理由は、先進国が脱炭素化に向けた具体的な数値目標を打ち出すほどに、気候変動問題が差し迫った重要な課題として社会に認識され始めたからでしょう。

また、財務指標だけではなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視した事業や活動を行う企業を評価する「ESG投資」の波が広がっていることも一因です。この流れに伴い、脱炭素化を意識する企業やClimate Tech製品の導入・活用を検討する企業も増えているため、Climate Tech領域のBtoBサービスの市場も広がってきています。

さらに、ここ10年でディープテックやIoT、AI活用などの技術が発展してきたことも追い風となっています。

Climate Techのスタートアップ企業や脱炭素DXを実現する企業の事例

Climate Techに特化した、数千億円規模のメガファンドも相次いで誕生しています。言わずもがな、支援体制が整うと、起業家もClimate Tech領域の技術開発や事業開発に挑戦しやすくなるものです。

いくつか、Climate Tech関連のスタートアップの事例を紹介します。

Tesla(テスラ)
すでにスタートアップの域は超えていますが、初めに紹介しておきたいのがTeslaです。2003年にアメリカ・シリコンバレーで創業された、Climate Techの先駆者のような自動車メーカーで、エンジンを使わない電気自動車と自動運転を開発して「自動車業界の常識を覆した存在」とも言われます。2021年度の世界販売台数は約93万台(前年比87%増)で、時価総額は100兆円を超えます。

Rivian(リビアン)
2009年にアメリカで設立された企業で、こちらもテスラと同じ電気自動車メーカーです。2021年9月に全米初のEVピックアップトラックを出荷し、2021年11月には119億ドルで新規株式公開(IPO)を行って上場を果たしました。AmazonのClimate Tech特化ファンドが多額を出資しており、配達用EV10万台の発注を受けています。

Beta Technologies(ベータテクノロジーズ)
2014年にアメリカで創業された、電動航空機(eVTOL)の開発を手掛ける企業です。小型飛行機でなければ輸送できなかった配送物をより迅速に輸送するのに適しており、医療機関や企業から注目されています。アメリカの大手物流会社も、eVTOLを購入して空輸サービスを強化しようとしています。こちらも、AmazonのClimate Tech特化ファンドから資金調達を行っています。

Indigo(インディゴ)
アメリカのアグリテック系ユニコーン企業(※「ユニコーン企業」:評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場のベンチャー企業)です。農地への炭素貯留を推進する「Indigo Carbon」を展開することで、CO2の削減と持続可能な農業の両立を目指しています。CO2の排出源と言われる農地ですが、環境保全型農業によって炭素貯留量を増やすことは可能です。しかし実現するためには、農家が多くの労力とコストを掛けなければなりませんでした。そこで、Indigo社は環境保全型農業の導入によって増加した炭素の貯留量を農家から買い取り、企業へ販売する仕組みを構築したのです。この仕組みによって農家の負担を軽減し、持続可能な農業へのシフトを支援しています。

Carbon Cure(カーボンキュア)
カナダで創業された企業で、コンクリートの原料となるセメントの二酸化炭素リサイクル技術を開発しました。セメントを製造する過程で大量に発生するCO2をコンクリートに再注入することで、よりコンクリートの強度を高める技術です。セメント産業は、電力や鉄鋼に次いでCO2排出量が多い産業とされているため、有用な技術として評価されており、すでに日本企業との提携も行っています。

海外のスタートアップが目立ちますが、日本でもClimate Tech関連の勢いのあるスタートアップが生まれています。

ゼロボード
CO2排出量算出・可視化クラウドサービス「zeroboard」を展開する企業です。企業活動によって排出されたCO2を簡単に見える化できるサービスで、データ連携を通じてサプライチェーン全体や商品ごとのCO2排出量も把握できるようになります。上場企業などの脱炭素化経営に貢献できる点で注目を集めています。

アスエネ
クリーン電力小売事業「アスエネ」と、温室効果ガス排出量管理クラウドサービス「アスゼロ」を提供する企業です。アスエネは、CO2排出量ゼロで再生可能エネルギー100%の電力を提供するもので、ブロックチェーンを活用して希望の発電所を選ぶことによりエネルギーの地産地消にも貢献できます。一方のアスゼロは、AIなどのテクノロジーを活用して温室効果ガス排出量の分析やCDP・省エネ法などの報告を効率化できるサービスです。

<協業の事例>
伊藤忠商事×シノプスの協業
シノプスは、AIが過去の販売実績や天候等による来店客数の変化をもとに需要を予測して、適切な数量だけ自動発注する小売業向けシステム「sinops」を提供しています。今回の協業によって、小売店で得られる需要予測値をメーカーや卸と共有し、食品流通全体の最適化と、食品ロスの削減や物流分野での温暖効果ガス削減を目指しています。


このように、世界でClimate Tech領域を中心にビジネスが広がっており、そうした技術やサービスの有用性を見抜き、受け入れる企業や社会の土壌も整ってきています。今後も、脱炭素DXを実現するスタートアップ企業の数が増えて、誰もが思い付いていないようなイノベーションを起こしてくれることに期待したいものです。

ライター:倉本 祐美加
クラウド製品を扱うIT企業のインサイドセールス職を経て2016年にライターとして独立。社員インタビューや導入事例インタビューなど、企業取材を中心に従事。

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