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接客DX!コロナ禍で加速したオンライン接客、メリットや事例をご紹介

小売業界において、DXの推進とともに「オンライン接客」の普及が進んでいます。普及のきっかけは、2020年に新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言の発令によって店舗の休業を余儀なくされた小売業が、新たな販売チャネル開拓のために行ったことからです。オンラインショッピングの頻度が増えた消費者からも喜ばれており、現在も店舗と並行してオンライン接客を継続している企業が多くあります。

本記事では、あらためてオンライン接客の概要やメリットを解説した上で、複数の成功事例を挙げながら、オンライン接客の効果を紹介します。

オンライン接客とは

オンライン接客とは、その名の通り店舗で行っている接客をオンライン上でも実現するものです。なかでも、もっとも対面の接客に近い温度感を実現できるのが、ZoomなどのWeb会議ツールを使って画面越しで会話する画面接客型です。こちらは多くの場合、顧客が事前に予約を行い、約束した時間に画面を繋いで会話をする形で実施されます。

画面接客型の他に、リアルタイムでテキストによるコミュニケーションを行うチャット型もオンライン接客の一つです。こちらは、ECサイトを眺める中でふと気になったことを気軽に質問しやすいという点で便利であり、顧客からも喜ばれています。

オンライン接客という名前から想像されやすいのはこの2種類かもしれませんが、他にライブコマース型や非対人型のフィッティングシステム(バーチャル試着システム)などもオンライン接客の一種だと呼べるでしょう。ライブコマース型とは、Instagramのライブ機能などを活用して、ショップ店員などがおすすめの商品を紹介したり、その場で視聴者からの質問を受け付けたりするもので、テレビショッピングに近い印象を受けるかもしれません。こちらは、1対多数の接客を実現できる点で便利であり、活用を進めている企業もあります。

そして、非対人型のフィッティングシステムはデジタル技術やAIを活用したシステムによって成り立っており、自身の顔写真や全身写真を登録して買いたい服やアイテムを選ぶことで、どのくらい似合うかのシミュレーションができるものです。顧客にとっては、来店せずとも気軽に試着に近い行為ができる点で便利なサービスです。

オンライン接客がもたらすメリット

オンライン接客は、顧客側と企業側の双方に多くのメリットがあります。

まず顧客側のメリットとしては、自身のタイミングで知りたいことを質問できる点が挙げられます。販売員が別のお客さまの接客をしていてすぐに質問できなかったり、商品をゆっくりと眺めているときに販売員に声掛けをされてしまったりといった、店舗で起こりがちな事象が起きないため自分のペースで購入を検討することができるからです。また、ECサイトでは判断できないディティールを確認できることもメリットでしょう。商品画像だけでは分からない、購入を検討する上で気がかりとなることについて、専門知識を持つ販売員に直接質問できるからです。オンライン接客を経て購入することで、手元に届いた商品が想像と違い、焦るケースも減るでしょう。

一方、企業側の一番のメリットは、購買意欲の高いお客さまとコミュニケーションを取ることができる点です。特に画面接客型の場合、予約してまで商品について知りたいと思っているということであるため、丁寧な接客を行うことで購買に繋がるケースやクロスセルに結び付く確率が高いと考えられます。また、オンライン接客を導入することで新規顧客の開拓にも繋がります。これまで近くに店舗がなくECサイトを見ていたが、商品画像だけでは購入を決断できなかったといった顧客にアプローチできるようになるからです。

このように、顧客体験の向上や顧客・企業双方の効率化がメリットとしてよく挙げられますが、商品の返品・交換の減少に貢献でき、コストを削減できるというサステナブルな観点でもメリットがあります。返品・交換が発生すると、輸送代が掛かることはもちろん、新たな資材で梱包し直すことなども必要となり、当然ながら使用する資源の量も廃棄の量も増えてしまいます。しかし、オンライン接客を実施し、丁寧に商品を案内した上で顧客に購入してもらうことができれば、返品・交換を減少させるサステナブルな販売モデルを確立できるからです。

オンライン接客の成功事例

オンライン接客をうまく取り入れることに成功している企業について、いくつか事例を紹介します。

 IKEUCHI ORGANIC株式会社「オンラインZoomストア」
商品を見ながら買い物をしたい、大切な人へのギフトを選びたいといったときに、タオルソムリエに相談しながら商品を選ぶことができます。1日2組限定・1人あたり40分の枠なので、じっくりと対話できるのも特徴です。2021年8月時点では「返品ゼロ」だそうです。

スワロフスキー・ジャパン株式会社「SWAROVSKI ONLINE APPOINTMENT」
2020年6月にリニューアルオープンした旗艦店・スワロフスキー銀座の、専門知識を持ったスタッフが接客を担当し、顧客の好みに合った商品や銀座店でしか取り扱いのない商品を提案しています。購入率約80%、顧客単価が店舗の平均の約5倍といった成果も出ているそうです。

株式会社LIXIL「LIXILオンラインショールーム」
自宅とLIXILショールームをオンラインで繋ぎ、キッチン、トイレ、浴室、窓やエクステリア等の商品提案を受けられたり、色決めなどの打ち合わせができたりするサービスです。くつろぎながら、住環境について検討・相談することができます。

三越伊勢丹ホールディングス「チャットサービス」
婦人服・紳士服・ランドセルなど複数の対象ブランド・商品について、LINEに商品の色やサイズ、知りたいことを書き込むだけで担当販売員が答えてくれるサービスです。

株式会社ジンズホールディングス「メガネを試着・検討しやすくなるデジタルサービス」
顔の雰囲気・顔型を判別して、「どのメガネがどのくらい似合うか」をAIで判定する「JINS BRAIN2」や、店頭・オンライン上の在庫から似合うメガネをランキング形式でオススメしてくれる提案機能を搭載しています。 


取り組み事例や成功事例も多数出ているように、もともと一部の企業だけが実施していたオンライン接客は、コロナ禍を機に加速しました。顧客・企業どちらにとってもメリットが大きいため、今後も充実したオンライン接客サービスが増えていくことでしょう。

オンライン接客の導入によって返品が減った事例や廃棄の削減に成功した事例などがさらに増えて、オンライン接客とサステナビリティの関連性が可視化されることにも期待を寄せたいです。

ライター:倉本 祐美加
クラウド製品を扱うIT企業のインサイドセールス職を経て2016年にライターとして独立。社員インタビューや導入事例インタビューなど、企業取材を中心に従事。

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