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現代の魅力的な建物とは

 サグラダファミリア、万里の長城、ブルジュハリファなど、世界各地には、人生で一度は目にしてみたい美しい建築物がたくさんあります。デザインやプロポーション、素材、周囲との一体感など、楽しみ方は無限大です。

そして、建築物は私たちの生活や文化、社会にも大きな影響を与えます。
環境にも、人にもよりよい社会をつくるために、建築に期待されている役割とは一体どのようなことでしょうか。

未来のためのサステナブル建築

昼間の街並みの風景

世界のCO2排出量のうち、全体の約40%を占める建築・建設産業。
気候変動問題が深刻化する今、より自然環境に配慮した「サステナブル建築」の重要性が増しています。

そもそもサステナブル建築とは、環境や地域に配慮し、生態系を守りながら耐久性に優れた建築物を構築し、かつ長期にわたって利用し続けられる建物のことです。

マクロ規模からミクロ規模までの多次元的・総合的な環境配慮が求められており、ここでの”環境”とは以下の3つの視点から構成されています(※1)。

地球への配慮
まず、地球の有限性と許容限界に配慮した「地球にとって持続可能な開発」を行うことが求められます。

地域への配慮
地球規模の視点はもちろん、地域環境に焦点を当てた環境設計を行うことも重要です。
周辺地域の環境に十分配慮することで、地域全体の持続可能な開発を実現させることに繋がります。

生活への配慮
省エネ性の高さと快適さを両立させた建築を目指すことも必要です。

身近な建物も?環境を守る「サステナブル建築」のメリットと事例

また、環境面に限らず、地域の伝統文化や周辺環境と調和し、将来に渡って人々の生活の質を維持する建築の構築を目指すことも、サステナブル建築の大切な要素となっています。

世界で最もエネルギー効率の高いビル

広がる青空とお洒落なデザインのビル

シアトルに2013年に建設されたブリットセンターは、敷地面積4645㎡、6階建ての商業ビル。

太陽光パネルや雨水貯水タンク、バイオトイレなど、環境に配慮したさまざまな工夫を取り入れていることで、「世界で最もエネルギー効率の高い商業ビルのひとつ」と称賛されています。(※2)

特筆すべきは、1328㎡の太陽電池パネルが設置された屋根。日本の住宅の屋根に設置されているソーラーパネルの大きさがおよそ20〜40㎡(※3)ですから、その大きさが伺えますね。シアトルが位置する太平洋岸北西部は曇りや雨の多い気候で有名ですが、この屋根だけでこのビルで年間に必要なエネルギーを全てまかなえるのだそうです。

また、ブリットセンターは地元の自然素材やリサイクル材を使用して建てられています。構造用鋼は約95%がリサイクル材で、さらにそのうち65%が中古材と、素材選びからサステナブル建築が実践されているのです。

さらに、エネルギー効率の高い場所に窓を配置し、熱伝導性の低い窓ガラス板を使用することで、暑い夏の日には熱気を、寒い冬の日には冷気を遮断し、熱効率を高めることにも成功。すべてのオフィスに開閉可能な窓が配置されており、室内光の82%は自然光で賄われているのだそうです。世界が評価するのも納得のサステナビリティの高さですね。

ブリットセンターはまさにサステナブル建築の体現と言えるでしょう。しかし、素材選びや効率的な窓の配置などの工夫は、どの建築物でも検討できます。

エコへ生まれ変わった「野球の聖地」

綺麗で広い球場

夏の甲子園で多くの野球ファンが熱狂した阪神甲子園球場も、実はサステナブル建築の代表例です。100年以上の歴史を持ち、全国高校野球大会の会場として知られる阪神甲子園球場は、2010年に改装工事が行われサステナブル建築としてリニューアルしました。

内野スタンド全体を覆う屋根(銀傘)の上に約1,600枚の太陽光パネルを設置したことで、火力発電と比べて年間約150トンのCO2削減に成功しています。これは、約40万m²(阪神甲子園球場約12個分)の森林が1年間に吸収するCO2と同程度の量になるのだそうです。(※4)

また、球場内では生ビールなどの販売に使用するポリエステル製のプラカップをリサイクルする取り組みが行われています。球場内に設置している専用回収カートや売り子さんによって年間約7トンのカップが回収され、再生ポリエステル繊維にリサイクルされています。リサイクルされた再生ポリエステル繊維は、来場したお客さんへの配布物などに活用されているとのことです。

建物としても、そこで産み出す商品やサービスとしても、サステナブルな価値を創出する。この点が、今後建築の魅力度を測る新たな指標となっていくでしょう。

ここから見えるシグナル

これまで、息をのむ美しさや唯一無二の個性的な見た目を持つ建築物は、”名建築"として高く評価されてきました。

しかし、建築物は鑑賞するためだけのものではなく、人々が暮らし、働き、学び、楽しむための場として機能する必要があることを忘れてはなりません。

企業では商品やサービスの環境配慮に取り組んだり、消費者も環境配慮された商品・サービスを購入したりしていますが、営みの中心となる建物においては、どれだけ環境に目を向けることができているでしょうか?

”サステナブルな何か”を生み出すことも大事ですが、将来、環境配慮型商品・サービスがコモディティ化した際に、”どこで生み出されたか”も消費者や企業に着目される観点になっていくのかもしれません。

冒頭でもご紹介した3つの視点から構成されたサステナブル建築は、持続的な社会をつくる上で重要な取り組みのひとつです。今後、そのようなビルや住まいが増えていけば、地球・地域・生活の環境はより一層豊かになることが期待できるでしょう。

建築は私たちの生活に深く関わり、美しさと機能性を融合させる魅力があります。街を歩くとき、今までよりビルや建物を気にかけてみることで、もしかしたらいつもと少し違う景色が見えてくるかもしれません。

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【引用】
※1 身近な建物も?環境を守る「サステナブル建築」のメリットと事例 | MIRAI PORT
※2 「世界で最もエネルギー効率の高いビル」 シアトル・ブリットセンターが進めた建築の民主化 | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan
※3 2023年度の4.5kW住宅用太陽光発電の年間発電量と売電収入はいくら?
※4 数字で見る阪神甲子園球場のエコな取組 ~環境に配慮した野球場を目指して~ | みんなでおうち快適化チャレンジ 家族も地球も健康に | COOL CHOICE 未来のために、いま選ぼう。

ライター情報:
柴森詩帆
経済学部卒。大学ではマーケティングについて研究し、インターンやゼミでSNS運用を経験。2023年にメンバーズに新卒入社し、データ領域を経験後、社内のInstagram運用を担当している。

田邊慶太朗
武蔵野大学 文学部日本文学文化学科卒。大学時代はオウンドメディアを運営する企業のインターンに参加し、主にSDGsを取り扱うWEBマガジンの記事執筆や企画運営に携わった。2023年春にメンバーズに入社し、現在はnoteの運営に携わっている。

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