もはや他人ゴトではない「Scope3」 ~脱炭素時代の企業価値向上とリスクマネジメント
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もはや他人ゴトではない「Scope3」 ~脱炭素時代の企業価値向上とリスクマネジメント

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サプライチェーン排出量とScope3が重視される背景

日本政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル。今多くの企業は、CO2排出量の削減に向けて知恵を絞っています。これまでは、事業所や工場など、自社設備内の再エネの導入や省エネが主な取り組みとなっていました。
しかし、現在は、製品やサービスを対象として、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄までの排出量といったサプライチェーン全体での算定が求められています。つまり、算定範囲と削減努力の範囲は、自社が関わる排出からサプライチェーン全体へと拡大しているということです。

こうした中、今回のコラムでは、サプライチェーン全体の排出量、その中でもScope3の重要性をお伝えしましょう。

京都議定書が採択されたCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)の時代に、温室効果ガス排出を削減することは企業にとって多大なコスト負担を負い、競争力を削ぐものであると認識されていました。こうした考えは、2015年のパリ協定(COP15)やSDGsの採択により、180度転換されたと言っていいでしょう。

脱炭素という新しい社会を迎えるための制約は、様々なイノベーションを生み出し、脱炭素に取り組む先進企業の価値は飛躍的に向上しています。今や企業は、野心的な脱炭素目標を掲げ、積極的な気候変動に対応する情報開示にしのぎを削っているようにも思える社会へと転換しました。これまでのScope1・2の算定から、Scope3の測定が重要視され、将来の脱炭素社会の実現には欠かすことができない必須アクションと言えます。

Scope3を理解する

サプライチェーン排出量とは、Scope1・2・3で構成されます。
今回のコラムでフォーカスするScope3を理解するには、Scope1・2の定義を理解する必要があります。はじめにScope1と2を理解することからはじめましょう。

Scope1とは、事業者自らがガソリンやLPG、都市ガスなどを燃焼したことにより排出する温室効果ガスのこと。そして、Scope2とは、事業者が電力会社などから供給された電気やガス等の使用により排出する温室効果ガスのことを指します。そして、Scope3とは、Scope1とScope2以外となり、15のカテゴリーによって構成されます。
カテゴリー1~8が上流で「購入した商品・サービスに関する活動」であり、カテゴリー9~15は下流で「販売した商品・サービスに関する活動」となります。ちなみに、カテゴリー4の「輸送・配送」(購入した商品・サービスのサプライチェーンから自社への物流)や、カテゴリー5の「廃棄物」(自社で発生した廃棄物の処理)などは、一見するとライフサイクル全体では下流に位置するように思えますが、Scope3の基準ではいずれも上流に位置付けられます。

サプライチェーン排出量の全体像やScope3の15のカテゴリーは、以下の図表をご参照ください。
※何れの出典も以下の通り
出典:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォームより
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/supply_chain.html#no01

サプライチェーン排出量の全体像

Scope3 15のカテゴリー分類

サプライチェーン排出量算定はリスクマネジメントである

環境省発行による「サプライチェーン排出量算定の考え方」https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf
によれば、サプライチェーン全体で温室効果ガス排出力を算定するメリットは、
・削減対象の特定
・環境経営指標に活用
・他事業者との連携による削減
・削減貢献量の評価
・機関投資家等の質問対応
・CSR情報の開示
の6点が挙げられています。
これらに記載の通り、排出量を把握し今後の対応を検討すること、GRI(Global Reporting Initiative)など任意の自主的な情報開示の取組みに参加することが可能となる等のメリットを見出すことができます。

しかし、このような対応を行わないことは、もはや企業活動にとってリスクであること、つまり、リスクマネジメントの観点からも対応すべきであり、対応することへの価値や重要性はより一層高まることでしょう。

Scope1・2の排出量計測からScope3も含めたサプライチェーン全体での管理へ。現在、そうしたマネジメントを行う企業は、脱炭素経営のトップランナーと言えるでしょう。しかし、近い将来はすべての上場企業に求められる、カーボンニュートラル時代の重要なデファクト・スタンダートの一つになることでしょう。

※サプライチェーン排出量の理解を深めるためのリンク集

環境省 物語でわかるサプライチェーン排出量算定
環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム
環境省 サプライチェーン排出量算定の考え方
環境省 サプライチェーン排出量算定に関する実務担当者向け勉強会 Scope3算定の考え⽅
環境省 サプライチェーン排出量算定におけるよくある質問と回答集

ライター:萩谷 衞厚
2015年5月メンバーズ入社。様々なCSV推進プロジェクトを担当、2018年よりSocial Good Companyの編集長、2022年度からは、アースデイジャパンネットワークの共同代表を務める。

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