電子政府で話題のデンマーク、どのような取り組みをしている?
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電子政府で話題のデンマーク、どのような取り組みをしている?

国連が2年ごとに実施している「電子政府調査(E-Government Survey)」の2020年結果において、デンマークが2018年に続きトップに選ばれました。デンマークは、北欧に位置する人口580万人ほどの小さな国で、社会全体のデジタル化が進んでいることでも知られています。

しかしながら、SkypeやSpotifyなど一部のIT企業が北欧生まれであることは知られていても、デンマーク自体にデジタルや電子政府のイメージは少ないかもしれません。
今回は、なぜデンマークの電子政府が高い評価を得ているのか、具体的な取り組みとともにご紹介します。

電子政府とは?

そもそも電子政府とは、総務省の定義によれば以下のような概念です。

電子政府・電子自治体とは、コンピュータやネットワークなどの情報通信技術(IT)を行政のあらゆる分野に活用することにより、国民・住民の方々や企業の事務負担の軽減や利便性の向上、行政事務の簡素化・合理化などを図り、効率的・効果的な政府・自治体を実現しようとするものです。

特定のツールやサービスを指すのではなく、政府や自治体に関連する行政サービスがデジタル化されている状態を指します。2021年9月に発足した日本のデジタル庁は、まさにこの行政のデジタル化を推進する組織として、手続きのオンライン化やマイナンバーカードの運営強化なども推進していく予定です。

デンマークの電子政府とは

では具体的に、デンマークの電子政府は何をおこなっているのでしょうか?

よく知られているのが、デンマークの国民番号(CPR番号)を持つ15歳以上の国民のためのデジタルID「NemID」です。これは2010年にスタートしており、2021年10月からは「MitID」として生まれ変わっています。これまで「NemID」にはセキュリティ上の欠陥が指摘されていたため、「MitID」に生まれ変わることで、この問題が解消される予定です。

「MitID」は、公的機関やオンライン銀行へのログインができる他、公金の支払いや給付、各種決済などでも不可欠です。100を超える公共サービスにアクセスできる他、私企業でも活用されています。

「MitID」は、法的拘束力のある署名として用いられるため、日本のマイナンバーに相当する「CPR」とあわせて利用することで、デジタルでの手続きなどがスムーズに利用できます。

他にも2011年からは、企業と政府のやりとりは全て電子メールになることが義務付けられました。政府や警察、医療機関などからの連絡、年金に関する情報や給与明細などが、メールによって受け取ることができます。

また医療や教育、年金、生活保護などの社会保障費については、デジタルによる申請によって登録された口座に振り込まれることになっており、日本でも新型コロナウイルス禍において現金10万円の一律給付がおこなわれましたが、こうした手続き・支払いもスムーズにおこなわれています。

なぜ電子政府化を?

では、なぜデンマークはいち早く電子政府を実現させたのでしょうか。それは人口減少や行政コストの肥大化など、現実的な課題への対応からです。

デンマークをはじめとした北欧諸国は、高い税率による福祉国家として知られていますが、手厚い福祉サービスを担う上で、高齢化による労働力不足や社会保障費の増大などが懸念されてきました。そこで行政のコスト削減のために、行政のデジタル化が進められたというわけです。実際、過去20年間にわたる政府のデジタル化によって、年間3億ポンド(約471億円)が削減されたと言われています。

なぜデンマークの電子政府は成功したのか?

しかしながら、ただ政府のデジタル化を押し進めたとしても、それが使いづらかったり、国民からの評判が悪ければ成功とは言えません。一体なぜ、デンマークの電子政府は高い評価を得ているのでしょうか。

その理由は大きく2つ指摘されています。1つは、市民と政府間にある信頼です。前述したように「MitID」は銀行口座や医療情報に紐づいており、多くの国民の個人情報が保有されています。こうしたデータが安全に管理されており、マーケティングなどのため不適切に利用されないと国民が信頼していることは、電子政府の成功にとって重要なポイントだと言われています。

もう1つは、いわゆるデジタル包摂 (Digital Inclusion)です。日本でもデジタル庁が「誰1人取り残さない、人に優しいデジタル化」を掲げていますが、高齢者や身体的にハンディキャップがある人などに、どのようにデジタルサービスを提供していくかは大きな課題です。デンマークでは、デジタルに精通していない高齢者にITカフェなどで操作支援をおこなったり、認知機能のハンディキャップがある人へのデジタル委任状を整備するなど様々な取り組みを行なっています。

このように、社会の高齢化や社会保障費の増大といった背景、デジタル包摂や政府への信頼などは、日本が電子政府や社会全体のデジタル化を進めていく上で、大いに参考となるポイントだと言えるでしょう。

ライター:石田 健
株式会社マイナースタジオを創業後、メンバーズにM&Aで参加。現在は同社を継承した部署で、企業向けにコンテンツ・マーケティングやデジタルにおけるグロース戦略の支援などを担当。

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