未来の兆しとなる事例を紹介する「Signals for future」シリーズ。
第4弾は、土地に根差したという「テロワール」という言葉を切り口に、ここから見える未来の兆しを考えます。最近、実は「テロワール」って来ているのではないかと思っていますので、事例とともにその可能性を探索しましょう。

テロワールとは？

皆さん、テロワールという言葉を聞いたことがありますか？ワイン好きな方はご存知かもしれませんね。

テロワールとは、土地を意味するフランス語「terre」から派生した言葉。「その土地の」「風土の」といった意味合いを持ち、ワインをはじめとした生育地の土地や気候を表すものとして使われています。
しかし、この「テロワール」。最近ではワインだけでなく、そのほかの場面でも取り入れられるようになってきました。

レストランのテロワール

レストランでは、その土地に根ざした料理をつくるという意味で「テロワール」が取り入れられることが多いようですが、その中でもユニークなのがフランスにある「Restaurant Ventrus」。

このレストランは、決まったところに店舗を構えるのではなく、期間ごとに場所を変えて移動する「移動式」レストラン！季節や時期によって場所を移動しながら、眺めの良い場所にレストランを構え、その時々のその場所でしか味わうことのできない料理を提供することを通じて、人々の五感を刺激します。

日本でも地産地消など、その地域で取れた食材をいただくという価値観が広がりつつあるように思いますが、レストランが移動してそれを提供するのは面白いですよね。

ガラスのテロワール

テロワールが取り入れられているのは、なにも食べ物だけではありません。

たとえば、AGCでは「素材のテロワール活動」という、さまざまな土地を訪れ、その土地の砂を使ってガラスをつくる取り組みをしています。

ガラスは砂からできていますが、実はガラス用に使える砂も枯渇状態にあります。持続可能な社会を実現するためには、これまでのような大量生産・大量消費されるガラスではなく、ガラスにも「愛着」を持って、長く使えるようなものにしていかなければなりません。

そこで、このような課題にアプローチする1つの取り組みとして「素材のテロワール活動」が誕生。それぞれの土地の砂でガラスをつくると、その土地ならではの色のガラスが生まれるだけではなく、その土地のストーリーや記憶を素材に閉じ込めることができ、１つのものに豊かなストーリーをもつガラスとなります。

ちなみに、このプロジェクトを通じて長野県の「諏訪（すわ）」では、黒いガラスが生まれたそうです。ガラスといえば透明なものをイメージしますが、透過しない黒曜石のような黒いガラスは、ガラスの価値観を変え、新たな可能性が広がります。

ここから見えるシグナル

サーキュラーエコノミーや脱炭素を実現するうえで、素材や材料を近いところから調達することや、できたものを近い圏内で消費することは、1つの重要な観点とされています。

「テロワール」はこの観点を体現する1つの方法であると同時に、土地に根ざすことでそのモノのストーリーや唯一性を高めるものであり、これからの時代のカギとなる考え方なのかもしれません。

これまでは、画一的なモノづくり、大量生産大量消費によりコモディディ化した商品が主流となってきましたが、その方法では持続可能な地球が困難となった今、そのモノづくりには転換期を迎えています。

これからの時代のモノづくりのポイントは、どういった素材でできているのか？誰によってどのようにできたのか？といった、そのものの成り立ちや込められたストーリーにあるのではないでしょうか。また、私たちもモノを消費する側としてどういったあり方が求められているのか、問い直すタイミングにきているのかもしれません。

=================================
本投稿以外にも、Signals for future（Instagram）では、たくさんの未来の兆し（シグナル）について投稿していますので、ぜひご覧ください！
Signals for future：https://www.instagram.com/signals_for_future/
=================================

この記事を読んだあなたへのおすすめ

関連動画

▼ セミナー／ホワイトペーパー（無料公開）

≪ メンバーズへのお問い合わせはこちら ≫