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循環する「食」のあり方とは?:Signals for futureより

循環経済の実現に向けて、食の分野でもモノの循環を生み出すことは不可欠です。今回は、身の回りにあるデジタル技術から、フードロスに取り組む海外のレストランなど、幅広く食の分野で循環経済に貢献する事例を紹介します。

循環経済って…

循環経済(サーキュラーエコノミー)は、今のリニアエコノミーを脱し、資源を循環利用し続けながら、新たな付加価値を生み出し続けようとする経済社会システムです。その循環経済を実現するのに欠かせない要素が、廃棄物の発生を限りなくゼロに抑えること(※1)!

しかし、賞味期限切れを起こしてしまった食品や余った食材を捨ててしまった経験は、皆さんにもあるのではないでしょうか?
そんななか、昨今では企業が技術開発を進めていたり、食材の利用方法を工夫し飲食店が現れたり、フードロス削減のために貢献する動きがあります。

大助かり!デジタル技術が家庭の料理・フードロス削減をサポート

まず、家庭でフードロスを減らす方法は何があるのでしょうか。
たとえば、SAMSUNGの「Family Hub」機能を搭載する冷蔵庫は、庫内カメラで買い物中も蔵庫を確認できます。また、食材を画像認識AIで判別し調理レシピを提案したり、タッチパネルから直接注文する機能も備わっています(※2)。

そして、パナソニックの冷凍によって食品を乾燥させる「常圧凍結乾燥技術」を利用すれば、熱風乾燥技術に比べて栄養が高い状態で常温での保存が1ヵ月可能に(※3)!

アイルランドのレシピアプリ「Drop」は、自宅にある食材を専用キッチンスケール(Drop Scale)で計量すると、その分量に応じたレシピをアプリが提示するため、食材の使い切りに役立ちます。そして不足する食材がある場合には、アプリから代用品を提案してもらうこともできる優れモノです(※4)。

食材を必要分だけ購入し、計画的に使い切るようにするのは、多くの家庭が行っているライフハックでしょう。それを最近では、スマート家電やアプリが消費者の生活をより豊かに、環境に配慮したものにするためのサポート機能を提供しています。

デジタル技術やアプリの例

そのお店の売りになる!フードロスなどに対する飲食店の取り組み!

実はデジタル領域だけでなく、飲食店でも食品や食材の廃棄を減らす取り組みが行われています。特にレストランでは、その店の「売り」にしているところもあります。
たとえば、イギリスの「Silo London」というレストランはゼロウェイストを掲げ、食材を余すところなく使用した料理を提供しています(※5)。

ほかにも、フランスにある移動式レストラン「Ventrus」は環境に配慮しエネルギーの生産、地元の生産者から食材の仕入れを行っています。また、廃棄物ゼロのポリシーに基づき、レストランで出た生ごみを堆肥にし、パリ市内の農園で使っているという地球だけなく地域にも還元する工夫が(※5)!

さらに、スウェーデンのレストラン「SOPKÖKET」では、スーパーで廃棄予定だった食材が回収・調理され、レストランとケータリングで提供されてます。廃棄予定だった食材はヴィーガンを中心としたメニューに生まれ変わり、なんと約2,700食が提供されてきました!これまでに約35トンものフードウェイストが削減され、ケータリングも電気自動車や自転車で食事を運ぶなど、環境負荷の軽減を徹底しているレストランです(※5)。

今回はレストラン中心に取り上げましたが、世界中で食だけでない価値を提供したり、味の良さだけないモットーを掲げる飲食店が現れていることがわかるかと思います。

サステナブルなレストランの例

ここから見えるシグナル

新しい食材・食品を大量に生産し消費するサイクルからの脱却は、循環経済が目指す社会のあり方です。つまり、生産数を下げ、なるべくあるものを長く・余すことなく使うことがサーキュラーエコノミーへの貢献になるのです!

しかし、食品を長持ちさせたり、食材を余すことなく使うというのは新しい技術・考えなのでしょうか?

昔の日本でもこういった技術や考えは存在しており、皆さんも各家庭でも食材の買いすぎや余りがでないように意識して生活していると思います。
そもそも、上記で紹介したスマート家電やアプリは、家庭での食材管理・調理体験を快適にすることを目的に開発され、結果として食品ロスの削減にも貢献するものとなっています。
世界各地にある環境配慮型のレストランも、味へのこだわりあってこそのフードロス貢献なのです。

注目すべきは、技術やアプリ、飲食店に環境配慮という新たな価値が加わったという点です。
今後現れるモノ・サービスは従来の品質向上に合わせ、環境配慮という訴求が増え、ますます循環経済への転換を後押しするでしょう。

生活から切り離せない「食」だからこそ、循環経済という視点で私たちは環境・社会・経済に大きな違いをもたらすことができるかもしれません。

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本投稿以外にも、Signals for future(Instagram)では、ほかにもたくさんの未来の兆し(シグナル)について投稿していますので、ぜひご覧ください!
Signals for future:https://www.instagram.com/signals_for_future/

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【引用】
※1 サーキュラーエコノミー(循環経済/循環型経済)とは・意味
※2 SAMSUNG|FOOD
※3 パナソニック、冷凍で食品を乾燥させる新技術でフードロス削減へ
※4 fresco
※5 食を通してサステナビリティを体感しよう。各国のレストランが今取り組むこと【欧州通信#14】
その他参照
【フードテックと社会課題への挑戦】デジタル活用による食品ロス削減と事業機会創出の可能性|日本総研

ライター情報:倉岡美亜
早稲田大学 国際教養学部卒。大学ではマイノリティなどについて研究。小学2年生からガールスカウトとして活動。2022年にメンバーズ新卒入社し、社内外のサステナブル推進を担う。

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