【イベントレポ】複数の先行事例から、次世代型のサステナブルな靴を考える
近年、企業や政府は環境への負荷を低減するため、リニアエコノミー(直線経済)からサーキュラーエコノミー(循環経済)への転換が模索されています。従来のリニアエコノミーは「生産・消費・廃棄」という直線的なプロセスのため、廃棄も多く発生します。一方、サーキュラーエコノミーは循環的なアプローチを追求し、素材や製品を経済システムに投入する最初の段階から廃棄や汚染が出ない設計を行い、それらをできる限り高い価値を維持したまま循環させ続けることにより、自然の再生を目指します。
しかし、これまでリニアエコノミーに慣れ親しんできた企業・消費者にとって、サーキュラーエコノミーへの転換は簡単なことではありません。「製品の耐久性を高めるための複合素材の接合がリサイクル可能性を下げてしまう」「経済合理性を担保することの難しさ」など、さまざまな課題があります。これらの課題を解決し、サーキュラーエコノミーを実現するためには、既存の考え方にとらわれない、新しい発想や創造性が求められます。そこで役立つのがサーキュラーデザインアイデア創出ツール「Circularity DECK(サーキュラリティデッキ)*1」です。
サーキュラーエコノミー実現のためのツール「Circularity DECK」とは?
「Circularity DECK」は、オランダ・マートリヒト大学で開発されたツールで、サーキュラーエコノミーの原則をもとにした5つの資源戦略と3つの階層をかけあわせたアイデアや視点、事例が書かれています。このデッキを使うことで、ビジネスモデルを評価し、持続可能性の観点から改善するための具体的なアクションを見つけることができます。
今回は、このCircularity DECKを活用して、創造的な循環型ビジネスモデルを短時間で発案する「サーキュラーデザインワークショップ」をメンバーズの循環経済ラボ主催にて開催しましたので、その模様をレポートします!
▼前回(2024/01/18 開催)のワークショップレポートはこちら
「次世代型のサステナブルな靴」を51の切り口から考える
今回のワークショップでは「次世代型のサステナブルな靴」をテーマに、商品企画を考えました。
Step1:カードの理解を深める
まずは、机の上に用意された「Narrow」「Slow」「Close」「Regenerate」「Inform」に分かれたカードの理解を深めるところからスタート。グループで、1人10枚Circularity DECKを引き、引いたカードに書かれた循環を考えるうえでのポイントや事例を読みながら、順番にカードから読み取れることや世の中に存在する事例などを共有しました。
Step2:靴の先進事例の共有
続いて、サーキュラーエコノミーの観点から参考になるような靴の先進事例をラボメンバーからご紹介。今回は、以下の事例をご紹介しました。
Öffen(オッフェン)|株式会社Norms
NFCチップ搭載のメンズスニーカー|クリスチャン・ディオール
3Dプリントシューズ|Nike
Step3:靴のサーキュラーエコノミー型の商品企画アイデアを考える
先行事例を分析したあとに、「靴をより経済循環させるにはどうするか」をテーマにグループで検討しました。今回は、靴の中でもピンヒールに焦点を当て、5つの資源戦略・3つの原則、51の戦術が書かれたカードをもとにサステナブル・サーキュラーエコノミーの観点で、活用できるアイデアを次々と出していきました。
「なぜピンヒールを履くのか」といったことから、「売れるためにはどうするか」といった視点まで、デッキを使いながら多面的な視点で考え、アイデアを付箋に書いて、はりつけていきます。
ワークショップではたくさんのアイデアが出ましたが、その一部をご紹介します。
アイデア①:ピンヒールの高さを調節できるようにする
アイデア②:購入前にお試しレンタルできるようにする
サーキュラーデザインワークショップを振り返って
アイデアを出す時間は40分程度でしたが、さまざまな意見が飛び交い、靴業界にもまだまだ循環型のビジネスモデルにできる要素がたくさんあると感じました。
また、参加者からは「弊社でもこういった取り組みをしていきたい」といった前向きな意見や、「弊社の領域において、サーキュラーエコノミー型にシフトするにはどうしたらいいか」などのご相談もいただきました。
新しいアイデアやビジネスモデルをゲーム感覚で生み出せる「Circularity DECK」。サーキュラーエコノミー実現に向けた施策のチェックリストとして機能することも実感できます。気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください!
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