これを押さえればAll OK ! 脱炭素に関するグローバルイニシアティブ後編
はじめに
メンバーズの「GX人材」によるこのマガジン。「脱炭素経営」を目指すために必要なプロセスや手法について、読者の皆さんとともに学びを深め、ともに歩んでいきます。
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この記事では2回に分けて、脱炭素に関するグローバルイニシアティブについて、分かりやすく解説しています。前回のTCFDに引き続き、今回はSBT、CDP、RE100の3つを取り扱います。
前回の記事はこちら。
SBT(Science Based Targets)
SBTとはパリ協定が求める水準と整合(1.5℃シナリオ)した、企業が設定するGHG排出削減目標のことです。イギリス発のNGOであるCDP、国連の関連機関であるUNGC(国連グローバルコンパクト、United Nations Global Compact)、世界の資源に明るいWRI(世界資源研究所、World Resource Institute)、自然保護に明るいWWF(世界自然保護基金。World Wide Fund for nature)の4つの団体が共同で運営しています。
GHGプロトコルそれぞれに目標を定め、Scope1,2対象の場合は4.2%/年以上、scope3対象の場合は2.5%/年以上の削減を目安として、最短5年~最長10年先の目標を設定し、運用します。効果としては自社に留まらずサプライヤーに対して適切なコミュニケーションやScope3の削減につなげることができます。また、中小企業については、中小企業枠のSBT認定があり、現時点ではScope1,2を目標掲げればよいため、SDGsに取り組んでいる証拠として活用できるのが特徴となっています。
CDP(Carbon Disclosure Project)
2000年イギリスで設立されたNGOが独自に運営しているイニシアティブです。情報開示/認識、 マネジメント、 リーダーシップの4つのレベルに分けられ、A、A-、B、B-、C、C-、D、D-の8段階で評価と認定を行うのが特徴となっています。各レベルには閾値が決まっており、それを超えることでより高い段階に進める仕組みとなっています。例えば情報開示で80%以上取れないと、認識レベルに進めないといった具合です。
現状は、気候変動、森林、水セキュリティ、サプライチェーンプログラム、シティプログラム(自治体向けの気候変動評価)の5つで評価を行っています。
注目されている理由としてはCDPを通じた情報開示を求める機関投資家が増えたことが挙げられます。今までに合わせて130兆円以上の資産を持つ680以上の機関投資家が開示依頼を求めました。
また、他のイニシアティブとも連動しており、気候変動質問書については、TCFDの情報開示ルールに則った項目も含まれているため、TCFD対応にもつながります。一方、SBT認定をしていると、CDPのリーダーシップの得点を獲得できるため、日本企業のA評価リスト56社では、認定47社、コミット4社と多くの企業が認定と評価申請を両方行っている状況です。
RE100(Renewable Energy 100%)
RE100は、イギリスのNPO The Climate Groupがパリ協定に向けて設立し、その名の通り、再生可能エネルギーを普及させることが目的のイニシアティブです。運営はThe Climate GroupとCDPが担っており、日本のパートナーには環境省も入っています。
具体的には、2050年までに事業活動に使用するエネルギー由来を再エネ100%にすることを宣言をすることで加盟をします。合わせてマイルストーンも宣言することが条件です。
日本企業ではリコーが「2050年までに100%再生可能エネルギーに切り替えることを宣言し初めて加盟しました。マイルストーンとしては、まず事業所やエネルギー使用時の温室効果ガスを2030年までに2015年比で30%削減する計画を立てています。
まとめ
この2回で取り上げた内容は、サステナビリティ部門の方だけではなく、企業に勤めている方であれば、どこかで関わる可能性のあるものだと考えています。クライアントから開示の依頼があった、経営方針が変わり営業部門も連携が必要になったなど、急に対応を迫られたときに分からないではなく、サプライヤー担当者やレポート作成をサポートする外部コンサルタントなどの関係者と、同じ土俵で議論できるように基本的な知識を押さえておきましょう!
メンバーズでは、デジタルの技術を駆使して、脱炭素と企業成長の両立を支援します。この記事のような基本的な知識のインプットから、本格的なLCAなど脱炭素に関する様々なご依頼にお応えしますので、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
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