ミルクは1つじゃない
未来の兆しとなる事例を紹介する「Signals for future」シリーズ。
第5弾は、植物性ミルクの選択肢から見える未来の兆しを考えます。牛乳の環境負荷は気になるところですが、食生活を変えるのは難しいもの。しかし、想像より植物性ミルクを試すハードルはそんなに高くないかもしれません…
皆さん、ミルクは好きですか?
ミルク、特に「牛乳」といえば、単語の通り「牛からとれる乳」ですが、世の中にたくさんのミルクが存在します。
ミルクは大きく分けて、牛や山羊など動物の乳からとれる動物性ミルクと、ナッツや穀類からつくられる植物性ミルクの2種類あります。
たとえば、牛乳だけでも通常のものから低脂肪、無脂肪のほか、さまざまな動物性のミルクがあります。植物性ミルクでは大豆からつくられるソイミルク、アーモンドからつくられるアーモンドミルク、オーツ麦からつくられるオーツミルクなどがあります。
今回は植物性ミルクに注目し、なぜ植物性ミルクを選ぶ人が増えているのか探ってみたいと思います。
なぜ選ばれる?植物性ミルク
選ばれる理由の一つとして健康面があります。体質やアレルギーで牛乳を受け付けない方が代替として植物性ミルクを選んだり、ダイエット中の方がカロリーの低い、もしくは体にいい栄養素を含む植物性ミルクを選んだりすることがあります(※1)。
しかし、体質面や健康面で植物性ミルクを飲む人は以前から一定数いたことでしょう。また、豆乳にいたっては昔から日本の食文化に根付いている、馴染み深い植物性ミルクでした(※2)。
ではなぜ、いま植物性ミルクが注目されているのか。背景には牛乳の「環境負荷」があります。
牛の飼育には場所・水・餌を必要とし、牛がオゾン層を破壊するメタンガスを排出することは環境の面で課題とされています(※3)。最近では、気候変動や環境問題への関心の高まりから、植物性ミルクを飲む人も現れているのです(※1)。
海外にはミルクの選択肢がいっぱい!
西欧諸国ではミルクは食生活のあらゆる場面で利用されています。牛乳の消費量が多い国はフィンランドに続き、オーストラリア、イギリスで(※4)、実際にわたしがオーストラリアに留学した際も、ミルクの種類の多さに驚きました。同様にイギリスのスーパーマーケットでも、さまざまなブランドが植物性ミルクを出しており、価格帯もリーズナブルなものが多いそうです(※5)。
最近では、ナッツや穀類など主流の植物性ミルクのほかに、AIを用いて牛乳の食感や匂い、口当たりを再現する植物ミルクも生まれています。
チリの代替プロテインスタートアップのNotCoは、代替ミルク「NOT MILK」の販売を開始。「NOT MILK」は、えんどう豆、パイナップル、ココナッツ、キャベツなど複数の植物をベースとしており、通常の牛乳の生産過程で発生する二酸化炭素の排出量を79%削減、使用される水を84%節約できるそうです(※6)。
1つの植物から個性あるミルクをつくるのではなく、AIを使い複数の植物を組み合わせることで「牛乳」を再現するこのアイデアで、植物性ミルクの幅は今後広がるのかもしれません。
いつもの1杯に植物性ミルクをチョイス
多くの人が利用したことのあるであろうコーヒーチェーンのスターバックスでは、「ソイ」「アーモンド」「オーツ」の3種類のミルクを用意しています(※2)。
植物性ミルクの先駆けとなったのは「ソイ ラテ」で、2001年から日本に広まってから、今ではソイミルクは定番の植物性ミルクの一つです。2020年にはナッツならではの香ばしい味わいが楽しめるアーモンドミルクが登場し、近年では牛乳の替わりにオーダーする人も増えました。
また、2021年にはオーツミルクを導入するなど植物性ミルクの選択肢の幅が広がっています。
スターバックスによると、クセが少なくほんのりとした甘さを感じられるオーツミルクは、日本人の好みと相性の良い植物性ミルクだそうです(※2)。
素材の風味を楽しめるスターバックスのラテは、選ぶ植物性ミルクによって違ったラテに仕上がるので、カスタマイズで皆さんの楽しみも広がるのではないでしょうか?
ここから見えるシグナル
現代の私たちの食生活には、さまざまな課題が隠されており、普段何気なく飲んでいる牛乳も、実はとっても環境に負担がかかっています。
しかし、食生活をいきなり変えるのはとても勇気がいるもの。
そもそも、本当に無理をして食生活を変えるのが正解なのでしょうか?
今回のnote記事には、見出しに「選択」に関連したワードを入れました。たとえば、ラテのミルクを時々オーツミルクに変えてみる、料理で使う牛乳を豆乳に変えてみるなど、わたしたちの小さな働きが一つになれば大きな変化を生み出すことにつながるのだと思います。
そして、この選択肢をつくり、幅を設けるのは企業の出番です。
消費者、生産者/企業ともにわたしたちの暮らしや地球を豊かにするために取り組む必要があるのではないでしょうか。
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