人と、企業と、マイボトル
そろそろ夏の終わり、秋の訪れを肌で感じる頃ですが、まだまだ暑い日は続きます。冷たいジュースでも…と、ついつい自販機に手を伸ばし、ペットボトル飲料を求めてしまうこともあるでしょう。
ですが、地球のためにもペットボトルの利用を減らしたいと考えている方も多いのではないのでしょうか。
広がりつつある個人のアクション
ペットボトルは適切に処理がされなかった場合、川から海へ流れ込み、海の生態系へ悪影響を及ぼします。プラスチックは自然分解されるのに時間がかかり、ペットボトルは完全に分解されるまで約400年もの期間がかかるとも言われてます(※1)。
そして分解されて細かくなったプラスチック(マイクロプラスチック)が海の中を漂うことで、魚がそれを食べてしまい、生態系が脅かされる恐れがあります。さらに、その魚を我々人間が食べることで私たちの体内にも蓄積されることも懸念されています(※1)。
このように魚だけでなく、人間にも悪影響を及ぼすことが懸念されるプラスチックごみを削減するため、近年ではマイボトルの使用が注目されています。
一般社団法人日本宅配水&サーバー協会の水分補給に関する一般向けアンケート調査によると、2022年のマイボトル利用率は日本人全体で72%となっており、多くの人にマイボトルが普及・浸透していることがわかります(※2)。
みずから、少しずつ
プラスチックごみへの対応が急務となっているいま、その課題解決への第一歩として取り組んでいる企業のひとつが無印良品です。
無印良品は、「みずから、はじめよう」と題し、持続可能な社会への第一歩として、「自分で詰める水」を提案しました。全国の無印良品の店舗にユーザーが自由に利用できる給水機を設置。給水機で利用できる飲料水にはフィルターを通した水道水を使用し、ペットボトル入りの飲料を新しく買う代わりにマイボトルを持参すれば、誰でも店内で気軽に飲料水を詰めることができます。
また、給水したことで削減できたCO2排出量を”見える化”できる「水」アプリも同時にリリースされました。このアプリには、給水機を設置している店舗の位置情報や、東京都水道局が「Tokyowater Drinking Station」として紹介する公共施設など都内約700箇所以上の給水スポットの情報も掲載されています(※3)。
「自分で詰める水」プロジェクトは、社会課題解決のための取り組みでもありながら、給水をきっかけに店舗に足を運んでもらえるというビジネス面でのメリットも兼ね備えている事例だと言えるでしょう。
マイボトルを”あたりまえ”に
アサヒユウアス株式会社は、環境に優しい「森のマイボトル」を販売しています。こちらは、国産間伐材を原料に活用した日本初のエコボトルです。木材自給率が40%と低い現状にある日本が国産材を使用し、更に間伐材を使用することは自然豊かな森を守ることにも繋がっています(※4)。
新規プラスチックの使用量を削減し、"使い捨て"という消費行動を変革する。それにより、マイボトル持ち運びの習慣づけを目指しています(※5)。
大変魅力的な施策ですが、アサヒグループはペットボトル飲料も数多く販売しています。一見、ビジネスとしては相反した取り組みのように感じます。
これは、アサヒグループの環境基本方針である「地球環境への取り組み強化」の体現として、取り組んでいることだといえるのではないでしょうか。
アサヒグループはこれまで100年以上にわたり、「自然の恵み」を原料としたさまざまな魅力的な商品を展開してきました。そのため、自然の恵みをなくしては事業の継続が難しいといえます(※6)。
地球環境をより良くするため、そして今後も持続的に良いサービスを提供していくためにも、「森のマイボトル」のようなサステナブルアイテムも展開しているのでしょう。
ここから見えるシグナル
無印良品やアサヒグループが、他の商品の売上を損なってしまうかもしれないこれらの施策を打ち出したのは何故でしょう。
それは、短期的な利益を追求するより、環境に配慮した商品やサービスを提供することでブランド価値を高めた方が良いと判断したから、そして素材を生み出してくれてきた自然への感謝を表したかったからではないでしょうか。
ユーザーにそれらの取り組みが理解されれば、市場での競争力も維持することができ、企業として長期的に持続可能な取り組みを行うことができます。
マイボトルの普及は、ユーザーはエシカルな行動ができ、企業にとっては新たなビジネスチャンスとなり、地球環境にとっては脱炭素にも繋がる、まさに三方よしの好例と言えますね。企業が顧客ニーズに合ったサステナブルなサービスを提供することで、生活者の意識も変わっていくことでしょう。
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