日経225銘柄企業 スコープ1・2・3独自調査|脱炭素DX研究所レポート #01
企業経営と生活者行動の両軸から、脱炭素社会の実現を目指す脱炭素DX研究所。脱炭素推進に役立つような情報発信を、さまざまな切り口から行っています。
脱炭素DX研究所による調査レポートの第1号は「日経225銘柄企業 スコープ1・2・3独自調査」。本レポートでは、日経225銘柄企業のスコープ別のCO2排出量の開示状況や炭素生産性、炭素税導入による事業インパクトなどを調査し、その結果から脱炭素経営のあり方を考察しました。
調査サマリー
温室効果ガス排出量スコープ1・2・3の内訳を明示・開示している企業は、76.4%(225社のうち172社)を占めた。全体の1/4の企業は、スコープ1・2の開示に留まる。
172社の総排出量に占めるスコープ3の割合は9割を超え、削減のポテンシャルは非常に大きいと言える。
日経225銘柄企業のスコープ1・2の総排出量に3,300円の炭素税を適用し試算すると、その額は1兆8,513億円に上る。これは日経225銘柄企業全体の営業利益の4.29%に相当。炭素税が経営に与えるインパクトは非常に大きい。
業種別の炭素生産性比較では、非物質化、つまり、モノからコトへとプロダクトのサービス化やデジタル化が進んでいると思われる業種ほど高くなる傾向に。炭素生産性の向上にはビジネスモデルの変革が求められる。
脱炭素DX研究所からの提言
今回の調査結果から、私たちは以下の点が脱炭素経営において重要であると考えています。
1. スコープ3の計測・開示・削減には競争よりも共創が重要
企業毎の開示方法にばらつきが多い。財務情報の開示方法にルールがあるように、スコープ1・2・3の情報開示方法も統一ルールが設定されるべきである。
海外では、企業が業界全体や取引先を巻き込み排出量管理のためのシステムやガイドラインの提供等をする動きがあり、国内でも同業他社や異業種との共創によりルール策定を主導するリーダーシップが求められる。
2. 企業単位でのCO2排出量の測定だけではなく、サービス・プロダクト別の測定・LCA(ライフサイクルアセスメント)算定への転換が求められる
脱炭素社会を目指すための経営指標として、炭素生産性の重要性を実感する結果となった。
今後は、従来の企業単位でのCO2排出量の測定・開示に加え、サービス・プロダクト別のCO2排出量の測定、および製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷や労働負荷などを算定・評価する手法であるLCAが必要となる。
これまでのサステナビリティ部門主導の対応から、事業部門やマーケティング部門によるCO2排出量削減に向けたきめ細かい対応への転換が求められる。
3. 顧客とのエンゲージメント強化とマーケティングを活用したスコープ3削減の推進が重要に
炭素生産性の向上の鍵は、CO2排出量の割合が圧倒的に大きいスコープ3の削減にある。
削減のためには自社努力だけではなく、CO2排出量削減のための共創パートナーとして、顧客を中心としたマルチステークホルダーとのエンゲージメント強化に努める必要がある。
そのために、サーキュラーエコノミー型のビジネスモデルへ転換し、製品使用段階における顧客とのタッチポイントを増やすなど、マーケティングが果たす役割は大きい。
まとめ
いかがでしょうか?2020年10月の政府のカーボンニュートラル宣言以降、脱炭素は経営の主要なテーマになっています。こうした時流のなかで、企業経営においては、営業収益や収益率だけではなく炭素生産性も新たなKPIとなるでしょう。
炭素生産性向上の鍵は、スコープ3の領域、つまりサプライチェーン全体を含めたCO2排出量の削減や製品・サービス単位でのCO2削減であることが、今回の調査から明らかになりました。
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レポート構成
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