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脱炭素時代の生活者意識調査|VOL.01『課題は企業のコミュニケーション方法』

メンバーズは、「社会課題の解決」と「ビジネスの成長」の両軸を実現させるCSVマーケティングを支援領域の1つとしており、2015年より『社会課題と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(CSVサーベイ)』を実施しています。

メンバーズは特に注力する社会課題として「気候変動」を挙げており、2022年度は『気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識の調査を行いました。

当「脱炭素時代の生活者意識調査」シリーズでは、CSVサーベイの調査結果について私見を交えながら、いくつかのパートに分けてお届けします。

環境配慮商品の購入意向は高まるも、購入者は増えず!?

SDGsをはじめ、サステナビリティや気候変動という単語を、テレビやネットでもよく見かけるようになりました。本調査でも、気候変動への関心層がはじめて7割を超えるなど、課題への関心が高まっていることが見て取れます。

気候変動に配慮した商品の購入意向についても同様で、気候変動に配慮した商品を購入したいという人は、2020年度では55.4%だったのに対し、2021年度は66.7%、2022年度は72.6%と、増加傾向にあることが明らかになりました。

では、実際の購入者数はどうでしょうか?
「気候変動に配慮した商品を半年以内に購入しましたか?」と調査で聞いたところ、「購入した」と回答したのは、約3割で昨年度から変化がありませんでした。実はこの数値、過去5年間変化がなく、横ばいが続いています。

つまり、環境に配慮した商品を購入したいという人が増えているのにもかからず、実購入者数は増えず、両者のギャップが年々開いていっているのです。

環境に配慮されていることが生活者に伝わっていない?

「気候変動に配慮した商品への購買意向がある」と回答したのにもかかわらず、半年以内に購入していない人を対象に、購入しなかった理由を聞いてみました。

すると上位にあがったは「どの商品が配慮されているかわかりにくかった」「どのように配慮されているか不明瞭だった」で、「金額が高かった」をしのぐ結果となりました。

店頭購入かネット購入かにかかわらず、消費者が商品を選択するときに「あ、この商品は配慮されているんだ」と一目で分かり、かつ「こういう風に配慮されているんだな」と判断できることが、購入というコンバージョンに至るまでに、とても重要であることがわかります。

実際、サステナブル消費が進む欧州では、商品やサービスに気候変動をはじめとする社会課題に配慮していることを、きちんと示す動きが進んでいます。たとえば、フランスではライフサイクルアセスメントを軸に、食品の環境負荷を数値化してスコア表示する制度が2023年から導入されました。しかも、この食品への環境ラベル表示制度は、政府だけでなく市民からの声によって導入が成立しており、商品やサービスにおけるわかりやすい表示は、生活者のニーズであることを強く認識できます

この流れは「気候危機」という課題に直面している日本においても、近い将来訪れるのではないでしょうか。いま一度、企業側として生活者が求めるコミュニケーションができているのか、見直してみるのはいかがでしょうか?

配慮された商品を購入するのは大変?

皆さんは、買い物をするときに時間がかかるタイプでしょうか?「即決します」という方もいれば、「徹底的にリサーチしてから決めます」という方もいらっしゃるでしょう。もちろん性格や購入する品物の大小にもよるところはあると思いますが、気候変動に配慮した商品を購入するには、商品をとても吟味するため、購入に至るまですごく時間がかかるという話を聞いたことがあります。

私も食器洗剤を選ぶ際に、どの洗剤が環境に負荷が小さいかを調べ、該当した商品のなかから、使い心地はどうなのかなど少ないレビューを参考に吟味して購入したところ、時間も労力もすごくかかったことを記憶しています。
だからこそ、一度購入してその商品に満足すれば、少なくともしばらくは購入する商品を変えようと思いませんし、「環境にも配慮されてる」という心理的な満足感も後押しし、その商品を購入し続けたいと考えます。

調査のなかで、気候変動に配慮した商品を半年以内に購入した層を対象に、「その商品を引き続き購入したいか」という設問があり、96%の人が引き続き購入したいと回答した結果がありましたが、驚くべき数値だと感じつつ、とても納得感がありました。

マーケティングの観点からいうと、何度もリピートしてくれる顧客はロイヤルティの高い優良顧客でもあります。いかに最初の一歩を踏み出してもらえるかが、企業にとっても大切なのではないでしょうか。

まとめ

海外に比べると、日本はまだまだ気候変動への意識が低くや行動に移せている人も少ないですが、それでも知識や意識は高まりつつあることがわかります。購入したいと思っている人がまずは購入しやすいよう、きちんと商品やサービス周りで伝え、コミュニケーションを取ることが企業には求められているのではないでしょうか?そうしたコミュニケーションが、消費者の気候変動や社会課題への関心や意識を高め、行動へとつながっていくのだと考えます。

もちろん、消費者が何も考えずとも、気候変動をはじめとする社会課題に負荷をかけないような社会を実現するのがベストですが、まだその世界は少し先にありそうです。そういった社会を作っていくためにも、生活者/企業/その他のステークホルダーの方とも共同して、できることからはじめてみるのはいかがでしょうか。

※今回紹介した、2022年度のCSVサーベイ調査結果のフルレポートは、以下からダウンロードいただけます。

ライター:中村 優花
2020年メンバーズ新卒入社。大手銀行のユーザー調査の業務や、企業とNPOの共創プロジェクトに従事したのち、現在は企業の社会課題解決型マーケティング支援を担当。関心のあるテーマは「人と自然の共存する社会とは?」。

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