使わなくなったスマホ、どうしてる?
私たちの生活に欠かせないスマートフォンやパソコン。
新しいモデルが登場し日々便利になっていく中、皆さんはどのくらいの頻度で買い替えているでしょうか?前に使用していたスマートフォンが手元にあるままの人もきっと多いはずです。
今回は、身近にある電子機器を起点に、これからの循環型社会に必要なことについて一緒に考えていきましょう。
電子ごみとは
電子ごみ(電子廃棄物、E-waste)とは、中古利用されずに分解、リサイクル、処分された家電製品や電子機器のことです。2020年に国連が公表した「The Global E-waste Monitor 2020」をきっかけに注目を集めるようになりました。
電子ごみは、温室効果ガスの中でも強力なフロンガスを排出することから地球温暖化の要因になるだけでなく、鉛・水銀など有害な物質を含むため不適切な廃棄は私たちの健康にも悪影響を及ぼしかねません。身近な製品だとスマートフォンやパソコン、ゲーム機などから多く温室効果ガスが排出され、2022年には世界の携帯電話のうち3分の1に相当する約53億台が廃棄もしくは放置されました(※1)。また、2030年までに7,400万トンに増加する予測となっており、これは2014年と比較し倍増に値するデータです。
このような電子ごみを減らすため、サステナブルな製品開発に取り組んでいる事例をご紹介します。
日本で最もサステナブルなスマートフォン
日本のFCNT社は、サステナブルをコンセプトとした「arrows N」シリーズを開発しました。
「arrows N」は、リサイクル素材の使用を旧来のスマホに比べて大幅に増やした環境配慮型設計により、バージンプラスチックを約4.8トン、バージンアルミニウムを約33.9トン削減したスマホです。その結果、CO2排出量を最大36%削減させることに成功しました(※2)。
また、製品の長寿命化として使い始めの電池持ちが4年間続く充電技術により、会社のDNAである「永く使えるものづくり」が引き継がれています。長持ちすると、新しく買い替えたり、古いのを捨てる必要もなくなるので、環境にもユーザーにとっても嬉しいですね。
環境面だけでなく設計の丈夫さによって、お客さまの信頼の起点になっているFANC社。環境面と設計の丈夫さの双方を両立している点からも、電子機器の新たな兆しが見えます。
携帯電話を資源循環の輪に
不適切なリサイクルを行う業者は、廃棄物を野焼きしたり、安全対策を怠ったりしているため、資源回収に従事する人々への健康被害が懸念されています。
そんななか、日々多くの電子機器を使う私たちが、不適切な方法で処理される電子ごみを減らせる方法があります。
大手携帯電話事業者のボーダフォンは、ドイツの消費者が携帯電話を買うたびにリサイクルの仕組みが整っていない国で廃棄された携帯電話を回収すると発表しました。
回収された携帯電話は、リサイクルの仕組みが整ったヨーロッパに送って処理するため、廃棄物の不適切な処理を減らすことができ、毎年100万台以上の携帯電話を回収できる見込みなのだそう(※3)。
このような事例は、不適切な方法で処理される電子ごみを減らすことに貢献するだけでなく、「世界の課題を解決する消費とは何か」というテーマについて考えるきっかけになるでしょう。
LCAという考え方
ここで、LCAというキーワードについてご紹介します。
LCA(ライフサイクルアセスメント)とは、製品やサービスに必要な原料の採取から、製品が使用され、廃棄されるまでのすべての工程での環境負荷を定量的に表そう、という考え方です。
製品のLCAに関する情報は、エコリーフ環境ラベルというものによって簡単に調べることができます(※4)。
先ほどの「arrow N」のように、ライフサイクルを延ばし、製造段階でのCO2排出量を削減するためにも、LCAで環境負荷などの情報を可視化するのは大切になってきます。
LCAは、今後の循環型社会を実現するための鍵になるともいえるでしょう。
ここから見えるシグナル
今回の事例などから「arrows N」のように製品の生産段階の設計だけでなく、物流段階や、使用後の廃棄のタイミングなど、サプライチェーン全体にスポットライトを充てる必要性が見えてきました。
循環させる仕組みや回収システムを企業が構築することで、資源の枯渇を防ぎ、環境負荷を減らすことができるのではないでしょうか。
消費者としても、手持ちの製品を長く使い、使わなくなった電子機器は売るか寄付をする。製品が寿命を迎えたときは、どう扱うのか慎重に検討することで、循環型社会の実現に近づくかもしれません。
世の中では多くのものが生産され、最新のものもすぐに消費されていきます。現代社会において、サステナブルの視点で"消費の在り方"を捉えなおす必要が企業側と消費者側に求められているのでしょう。
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