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私をきれいに、地球もきれいに~ファッション繊維の今~

環境に良いファッションというと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
たとえば、昔から人気の古着は今ではエシカルファッションとしても認知されています。また、近年では古着をリメイクするアップサイクルという言葉もよく耳にするようになりました。どちらも、一般的に知られているサステナブルなファッションです。そんななか、今回は素材(繊維)のサステナビリティに取り組む企業をご紹介します。


コットンは環境にいい素材?

コットンは天然素材であるため、環境によいというイメージがあるかもしれません。しかし、もともとコットンは多くの農薬を消費している天然繊維でした。また、それによる健康被害や児童労働などの課題も抱えていました(※1)。そこで、環境や人権に配慮したコットンとして「オーガニックコットン」が注目されており、特に無印良品やH&Mでは、オーガニックコットンの利用に注力しています。

パイナップルからレザーを作る、新しい天然繊維の登場

オーガニックコットンは既に普及している素材の生産プロセスをサステナブルにするという発想でしたが、次は服の素材ではなかったものに繊維としての可能性を見いだした例をご紹介します。

果物・食品会社のDoleはヴィーガンレザーを開発するAnana Anamと共創し、パイナップの葉をもとに作られたレザー『Piñatex』を開発しました(※2)。Piñatexは、毎年4万トンも廃棄されていたパイナップルの葉を有効活用しただけでなく、放置するか燃やすしかなかった葉を買い取ることで、パイナップル農家の副収入にも貢献しています。また、繊維を取り除いた後に残るバイオマスは、肥料として使用されています。この三方良しのPiñatexは世界最大級の広告賞である「カンヌライオンズ2022」でも取り上げられ、注目を浴びました。

このような取り組みは、実は日本でも行われています。
KISEKI LABELは、沖縄県北部やんばる「奇跡の森」で育ったパイナップルの葉から繊維を紡ぎ、布を作っている企業です。沖縄の特産品でもあるパイナップルを利用したビジネスは、環境にも農家にも好影響と言えるでしょう。今は繊維や布の制作がメインですが、縫製まで沖縄で行うことができたら、素材から地産地消できる服が現れる日も近いのかもしれません。

天然繊維だけでなく、化学繊維もサステナブルに!

BRINGという会社では化学繊維もサステナブルに変換していくという取り組みが行われています。それは、独自の技術でリサイクルされた服からポリエステルを抽出し、再生ポリエステルを製造するというものです(※3)。
このように、植物由来の繊維への転換は環境問題を解決する手段の1つですが、今ある化学繊維に向き合い、どのように有効活用/再利用するかを考えることも将来をわけるポイントとなりそうです。

ここまでいくつかの例を紹介してきましたが、企業のWebサイトで表現される共通のキーワードが「循環」です。
古着やアップサイクルは、捨てずに長く使い続けることができるサステナブルなファッションとして認知されています。しかし、そうした服もいつかは着られなくなる日がやってきます。素材そのものを見直し、着られなくなった後も生まれ変わらせることができる服やファッションを考えることが循環経済をつくるうえで欠かせなくなりそうです。

※1:日本オーガニックコットン協会 オーガニックコットンとは
※2:Piñatex パイナップルレザー
※3:BRING

ライター情報:倉岡美亜
早稲田大学 国際教養学部卒。大学ではマイノリティなどについて研究。小学2年生からガールスカウトとして活動。2022年にメンバーズ新卒入社し、社内外のサステナブル推進を担う。

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