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COP28発表!グリーン・デジタル・アクション

世界のハイテクセクター、COP28でグリーン・デジタル・アクションによる気候危機解決の取り組み強化に合意

https://www.cop28.com/en/より抜粋

第28回国連気候変動会議、通称COP28がアラブ首長国連邦のドバイで開催されています。会場は、2022年3月31日に閉幕した2020年ドバイ国際博覧会。その一部は既にスマートシティへと再開発されており、いくつかのパビリオンは内部見学もできます。そんなサーキュラーエコノミーを意識した会場でCOP28は開催されました。

そのCOP28で、世界のハイテクセクターのメンバーは「グリーン・デジタル・アクション」を通じて、気候危機解決に向けた取り組みを強化することを宣言しました。この内容がとても重要なのでご紹介しますね。


グリーン・デジタル・アクションは、世界のデジタル・コミュニティを団結させ、協力的な解決策を策定し、業界全体で気候変動対策を強化するため、1年かけて取り組んできたあり、業界団体、国連機関、政府、企業など40を超えるパートナーが参加。その集大成として今回の発表に至りました。

補足:この参加機関には日本の団体が単独では参加していません。欧州・米国、つまり世界を代表する機関が登録されています。ここでも日本は後塵を拝する結果となっています。

COP28において、発表された成果は次のとおりです。

  • グリーンスタンダード

  • 緊急通信 / すべての人への早期警報

  • ICTセクターのGHG排出量

グリーンスタンダード

持続可能な未来を実現するために必要なイノベーションの規模を支えることができる国際標準化は重要と表明。

コミットメント1
世界標準化協力機構(World Standards Cooperation)は、持続可能性を設計によって技術標準の開発に組み込むことの重要性、および世界がネット・ゼロ・エミッションを達成し、資源効率の高い循環型低炭素経済を実現するための標準の重要性について共同声明を発表。

コミットメント2
Itu ISOは、行動計画およびピアラーニング・ワーキンググループの立ち上げにより、環境持続可能性基準の実施に関する産業界と各国の協力を強化することを表明。

緊急通信 / すべての人への早期警報

情報通信技術産業は、2027年までに地球上のすべての人が早期警報システムによって保護されることを求める「万人のための早期警報(Early Warnings for All)」気候適応イニシアチブを支援し、すべての人に警報を届けるための刺激的な機会、革新、製品およびサービスを約束。

コミットメント1:
多数のモバイルネットワーク事業者は、2027年までにすべての人の保護を確保する「Early Warnings for All」イニシアチブの野心的な目標を達成することを目指し、各国政府と協力してセル放送と位置情報ベースのSMSの導入を支援することを約束。

コミットメント2
ブラジル国家電気通信庁(Anatel)は、効果的な早期警報のための携帯電話ブロードキャストを実施し、規制的アプローチを採用し、その経験を共有して認識を高めることにより、「万人のための早期警報」イニシアチブにコミット。

コミットメント3
万人のための早期警報イニシアチブの目標にコミットし、世界衛星通信事業者協会(GSOA)とそのパートナーは、機器メーカー、標準化団体、その他の主要な利害関係者との関わりを含め、セクターを超えた協力を通じて、携帯端末への直接接続サービスを強化し、課題を克服することに専心することを発表。衛星サービス・プロバイダーは、EW4allイニシアチブを支援し、デバイス間直接接続サービスの研究や利用を支援することで、このコミットメントに参加することを推奨。

補足:日本にいるとこの意味がわかりませんね。2022年1月の調査によると、日本国内でスマートフォン、ケータイの所有者のうちスマートフォン比率が96.3%。世界普及率ではやっと半分程度なのです。だからこそ情報弱者に向けた「万人のための早期警報(Early Warnings for All)」が重要視されています。 

ICTセクターのGHG排出量

グリーン・デジタル・アクションは、ICT 1.5℃のトラジェクトリーに沿ってGHG排出削減を実施することに合意する強力かつ効率的な組織グループを集め、ピアラーニング・ワーキンググループを立ち上げ、異なる成熟度レベルを考慮に入れて、この実施を相互に支援するという目標に向けて順調に進展しています。

コミットメント1
企業は、SBTiによって検証される(または既に検証されている)科学的根拠に基づく1.5℃の排出削減目標を設定する(または既に設定している)ことを約束し、スコープ1、2、3の排出量を適宜削減することを約束するとともに、脱炭素化の軌道とネットゼロ目標をどのように達成するかを概説する移行計画を作成し、公表すること。

コミットメント2
企業は、製品やサービスの排出係数に関するICTセクターのデータベース作成に貢献することに関心を示し、実施を支援するワーキンググループに参加する。ITU-T SG5における既存の標準化の取り組みに参加するよう企業を招請へ。

コミットメント3:
企業は、すべてのGHG排出スコープとカテゴリーに関するデータを毎年、公に報告し、その結果をITUの公開データベースに提出することを約束。

補足:これも注目できますね。テックセクターはより積極的にGHG排出量を測定しそのデータをITUに献上するということ。これにより個別の商品・サービスのGHG排出量もみえてくることになります。先日のW3Cで発表されましたがサスティナビリティWebデザインなどもこの対象となります。

さいごに

ハイテク産業は、世界の温室効果ガス排出量の1.5~4%を占めていると推定されています。AIシステムを含め、増大するデータの保存と処理のニーズは、このセクターの二酸化炭素排出量をさらに増加させ、ますます膨大なエネルギーを消費していくことでしょう。

一方で、テクノロジーは気候変動対策を強化する武器ともいえます。
気候モニタリングやビッグデータ研究などの分野では、テクノロジーは気候の傾向を特定し、解決策を導くことが可能です。テクノロジーは、早期警戒システムを通じて適応を支援し、エネルギー効率を高め、グリーンネットワークを構築し、循環型経済を発展させることによって緩和努力を支援することができるとも言えます。

このグリーン・デジタル・アクションの呼びかけに貴社はコミットする準備はできていますか?

現地写真1

参照サイト
https://www.cop28.com/en/
https://www.sdg-digital.org/accelerationagenda
https://www.itu.int/initiatives/green-digital-action-atcop28/about/outcomes/
https://www.miragenews.com/tech-sector-enhances-climate-pledge-with-green-1140569/

ライター情報:数藤雅紀
株式会社メンバーズ 脱炭素DXカンパニー
循環経済&サスティナビリティ推進 ラボ所長ケンブリッジ大学経営大学院循環経済プログラム修了
Global Compact Network Japan サーキュラーエコノミー分科会共同幹事もと山一證券。金融・デジタル・DX・循環経済を得意とする。
Note:https://note.com/suto410
Facebook:https://www.facebook.com/Sutoh/

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