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サーキュラーエコノミー戦略 #1 Narrow

「Circularity Deck」は、5つの戦略と3つの階層で構成された51の戦術から構成されているカードツールです。「Circularity Deck」の紹介はこちら


概要

より少ない原材料、部品、エネルギーを使用する戦略、それがこの「Narrow(ナロー)戦略」です。

ナローは「狭める」という語意。広かったものを狭めるニュアンスから「削減する、縮小する、制限する」という意味を持ちます。

解説

従来、企業はコストを重視した活動を継続してきました。それは、乱獲や乱伐が進行し、土壌汚染が発生しても、調達コストを抑えることを求める結果となりました。しかし、社会的な善と企業の発展は相反していることが明らかになりました。

土壌汚染の問題には環境保全にかかるコストが必要です。また、乱獲や乱伐には再生に要するコストが必要です。しかし、これらの隠れたコストは企業の財務諸表には記載されていません。

サーキュラーエコノミーの概念で極めて重要な概念のひとつは、サプライチェーンの起点である「バージン資源の使用量を削減しよう」とする考え方です。これがナローのアプローチです。

企業は従来のコスト重視から脱却し、サーキュラーエコノミーの原則に基づいた取り組みを行うことで、環境への負荷を軽減し、持続可能な発展を達成することが求められています。サーキュラーエコノミーへの移行は、企業の経営戦略において重要な要素となっており、環境保護と経済的利益の両立を追求するための新たな道筋となっています。

ナローの目指す方向性は、資源の利用を枯渇型資源(金属、石油など)・循環型資源(水、空気)にこだわらず消費に対する世界的な需要を減らすことです。

戦術

Circularity Deckにおいて、ナロー戦略は次の7つの戦術から構成されています。

Narrow x Product 1:少負荷なインプットを使うデザインにする
Narrow x Product 2:軽量な製品のデザインにする
Narrow x Product 3:多機能なデザインにする

Narrow x BusinessModel 1:消費抑制でできることやインセンティブを提供する
Narrow x BusinessModel 2:身軽な流通網を実現する
Narrow x BusinessModel 3:調達の現地化を進める

Narrow x EcoSystem 1:使用効率を最大化する

Circularity Deck 一例

まとめ

ナローは、原材料の使用量を減らす製品のリデザイン、リサイクル材料の使用によるバージン材料の使用量減、エネルギー消費の削減、製品部品点数の削減、流通にともなう輸送量の削減などが当てはまります。

*この記事の情報は 2023年5月メンバーズコラム掲載当時のものです。

ライター:数藤雅紀
株式会社メンバーズ 脱炭素DXカンパニー
循環経済&サスティナビリティ推進 ラボ所長
ケンブリッジ大学経営大学院循環経済プログラム修了
Global Compact Network Japan サーキュラーエコノミー分科会共同幹事
もと山一證券。金融・デジタル・DX・循環経済を得意とする。
Note:https://note.com/suto410
Facebook:https://www.facebook.com/Sutoh/

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