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【事例紹介】ファッション業界の未来を変える:「AIモデル」の革新と可能性

ファッション業界は環境汚染業界2位といわれるほど、環境への負荷が大きい業界だといわれています。一方で、最近ではchatGPTやMidjournyなどの台頭をはじめ、AI技術が急激に進んでいます。

そのような中、AI model株式会社は、AI技術を駆使して、ファッション業界のDX化・環境の低減を支援する革新的なサービス「AIモデル」の提供を開始しました。デジタルモデルを活用することで、撮影やプロモーションの効率化を図り、ファッション業界における環境負荷を軽減しています。

今回は「AIモデル」を題材に、「※Circularity Deck(サーキュラリティデッキ)」を使用し、現状(AsIs)とさらなる拡張性(ToBe)について解説します。

※サーキュラリティデッキとは、循環経済(サーキュラーエコノミー)に向けた新しいアイデアやアクションを特定するフレームワークを、カードデッキ状に一覧化したものです。
サーキュラリティデッキについての解説記事はこちら

「AIモデル」とは?

「AIモデル」は、AI model株式会社が提供している、アパレル企業のDXを支援するサービスです。AI技術を駆使してデジタルモデルやタレントを生成し、ファッション業界での撮影やプロモーションの効率化を促進しています。

たとえば、ECサイトでは顧客やユーザーが求めるスタイルやフィット感を反映したモデルを提供することで販売促進を図っています。また、AI技術によるデジタルモデルやタレントを活用することで、従来のモデル撮影の手間を大幅に軽減し、コストや時間を削減することができます。


デジタルモデル(参照:https://www.ai-model.jp/)

「AIモデル」がもたらすファッション業界への影響

コロナ禍によるEC化の進展に伴い、ファッション業界では「ささげ業務(ECサイトにおける撮影、採寸、原稿などの商品情報制作)」のコストと時間が課題となっていました。

「AIモデル」はこの問題を解決し、アパレル企業の持続可能なビジネス展開を支援しています。低コストでのサービス利用が可能なため、これまでモデルを使用できなかった企業にも大きな助けとなっています。

そのため、「AIモデル」の導入によりブランドは低コストで迅速なマーケティングが可能になり、売上向上が期待できます。

サーキュラリティデッキで分析・分類

この革新的なサービスには、どのようなサーキュラーエコノミー的要素が含まれているのでしょうか。

メンバーズが採用しているサーキュラーデザインツールを活用して、分析・分類を行ってみましょう。

使用するのは「Circularity Deck」というツールです。このツールは、5つの戦略と3つの階層から構成される51枚の戦術カードを備えており、現状(AsIs)と将来の拡張性(ToBe)を考察するのに役立ちます。

「Circularity Deck」を用いた分析は、AsIsーTobe軸とDirectーIndirect軸の2つの軸を使って分析を行います。ここでは、特にAsIs-Tobe軸に焦点を当てて紹介します。

サーキュラリティデッキ 現状(AsIs)分析

「AIモデル」の事例は、循環型経済の原則に基づいた取り組みを行なっています。この事例を「Circularity Deck」を用いて分析した結果がこちらです。

デッキを使い「AIモデル」を分析

現状分析(AsIs)では、NP1、NP2、NP3、SP5、SB8、RE4、IP2、IP3の戦術カードが実践されていることがわかりますね。ここでは、主要な4カードについて解説します。

NP1:環境負荷の少ない原材料を用いるデザインにする
「AIモデル」を使用することで、実際のモデルを使用した撮影に比べて工数が削減され、機材の輸送や物理的なリソース(ヘアメイク、スタジオなど)の消費を軽減できます。

SP5:アップグレード可能なデザインにする
AI技術を用いることで、モデルの外見や特性を容易に変更できるため、ニーズに応じたアップグレードが可能です。これにより、ブランドの要求に合わせた最適なモデルを迅速に提供できます。

SB8:製品をサービスとして提供する
「AIモデル」を通じて、顧客に対するサービスを展開しています。顧客は専属のデジタルモデルを生成することで、ブランドのプロモーションや広告に活用できるため、所有権を持たずとも価値を享受できます。

IP2:デジタル化・仮想化を検討する
「AIモデル」はデジタルで生成されるため、物理的な資源を必要とせず、デジタル化されたコンテンツを容易に提供できます。これにより、物理的な撮影の手間が省かれます。

この分析から「AI model」は、環境への負担を減らしたり、コストを抑えたり、デジタル化を進めることで、持続可能なビジネスモデルを作り上げ、ファッション業界全体の効率をアップさせていることがわかりました。

サーキュラリティデッキ 拡張性(ToBe)分析

次に「AIモデル」がさらなる発展を遂げるために、どのような戦術をとるべきかを分析・考察します。

以下に拡張性(ToBe)分析の結果の一例とその考察を示します。

RP2:再生可能な素材を用いたデザインにする
「AIモデル」の活用が進むことで、素材選択においても再生可能な選択肢が考慮されるようになり、より持続可能な製品設計が実現します。

RB3:製品使用方法をネイチャーポジティブの観点で見直す
「AIモデル」の利用が進むことで、製品使用の新たな形態(消費者自らのデジタルモデルを用いた仮想試着など)が広がり、消費者の購買意欲や選択に好影響を及ぼし、商品の購入を促進します。

IE1:オンラインプラットフォームを通じて販売する
「AIモデル」の生成とその活用が進むことで、オンラインプラットフォームを通じた新たなビジネスモデルが形成される可能性があります。顧客が簡単にデジタルモデルを取得し、利用できる環境が整うことも考えられます。

IE3:オンラインプラットフォームを使いノウハウを共有・共創する
「AIモデル」の活用を通じて、企業間のコラボレーションや知識の共有が促進されます。これにより、業界全体のイノベーションが進むことが期待されます。

「AIモデル」は、ファッション業界に新たな価値を創出しています。今後は消費者ニーズに応じたパーソナライズが可能になり、ECサイトでの使用率向上が期待されます。

しかし、「AIモデル」の影響はこれだけにはとどまりません。

現在のファッション業界は「見込み生産」が主流であり、これによって大量廃棄という深刻な課題に直面しています。東洋経済オンラインによると日本では年間約29億着が生産され、その約半分、すなわち15億着が売れ残り、焼却または埋め立て処分されています。

「AIモデル」は、生産に入る前の段階でのデジタルマーケティングを可能にすることで、消費者にとっての利便性を高めることが可能です。つまり、「AIモデル」は従来の「見込み生産」から「受注生産」への移行を促進し、大量廃棄の流れを抑える力を持っているのです。

さらに、受注生産が進むことで製造方法の選択肢が広がります。消費者自身が好みの素材を選べることで、リジェネラティブな素材を選択肢に加えることができ、環境に優しい衣料品の生産が実現するかもしれません。

こうした取り組みは、企業対消費者だけでなく、消費者同士が交流し、一連の取り組みを通じた売買プラットフォームを開発することで、より持続可能なファッションの実現に向けた大きな一歩となるでしょう。

モデルの仕事はなくなるのか?

「AIモデル」の導入により、物理的なモデルの仕事が減少する懸念がありますが、実際には共存関係にあると考えられます。特定のブランドイメージや感情表現には、依然として人間のモデルが重要です。

さらに、「AIモデル」は新しい仕事を生み出す可能性があります。たとえば、人間のモデルをもとにした「AIモデル」を作成し、年齢や属性を変更することで、モデルの活躍の幅が広がります。これにより、モデルは年齢を重ねても長期間活躍できるチャンスが生まれます。

未来の展望——「AIモデル」はすべての業界に通ず——

現在のAI技術がさらに進化することにより、3D計測用ボディースーツのようなデジタルツインを活用した技術を用いて、消費者自身のデジタルモデルを生成し、仮想試着が普及する可能性があります。

この技術は消費行動にポジティブな影響を与えるだけでなく、「AIモデル」はファッション業界にとどまらず、ダイエット記録や背中の歪みを計測するヘルスケア、体の動きを記録してスポーツに活かすなど、さまざまな用途に活用されることが期待されています。

たとえば、エンターテインメント業界では、映画やゲームのなかで、自身を基にした「AIモデル」のキャラクターが動くということが考えられます。

マーケティング業界では、TV-CMなどで「AIモデル」が使用されることにより、安価で広告を打ち出すことができるようになるでしょう。

教育業界では、特定の科目やトピックに応じて異なる「AIモデル」を生成し、学生に対して効果的な個別指導を行えるようになるかもしれません。

不動産業界では、 物件のオンライン内覧に際して、顧客が特定のライフスタイルを持つ「AIモデル」がその物件で生活しているシーンを視覚化することで、その物件に対するイメージを具体化することができます。

旅行業界では、「AIモデル」が観光地を案内し、観光客に情報提供を行うようになるかもしれません。歴史的な人物を模したデジタルモデルがその地域の文化や歴史を説明すると、旅行の魅力がさらに引き立つでしょう。

このように、「AIモデル」は多くの業界で活躍できる可能性を秘めています。皆さまのビジネスにも活用できるのではないでしょうか。

まとめ

AI model株式会社の「AIモデル」は、デジタル技術を活用したモデル生成により、環境負荷を軽減し、ファッション業界における循環型経済を推進する重要な役割を果たしています。

今後のAI技術の進化と市場の変化に対応し、持続可能なビジネスモデルをさらに深化させることで、「AIモデル」はファッション業界にとどまらない新たなビジネスチャンスを見出すことができるでしょう。

サーキュラーエコノミーにご興味を持っていただいた皆さま、ぜひお気軽にこちらまでお問い合わせください。

ライター情報:多田 凜平
株式会社メンバーズ 脱炭素DX研究所所属
大学では初等教育について学修し、国語科と音読について研究。執筆した小説をSNSでプロモーションした経験から、デジタルマーケティングを用いた社会課題解決に興味をもち、メンバーズに入社。
脱炭素DX推進に向けた記事執筆を担当。環境省認定制度の脱炭素アドバイザーベーシックにあたる「炭素会計アドバイザー3級」を保有。
関心のあるテーマ「食品」「ファッション」「スポーツ」

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