捨てるだけじゃないゴミの選択肢
普段何気なく捨てているごみ。分別をし、決められた曜日にごみを出すことが少し疲れるときもあるのではないでしょうか。今回はゴミの処理方法に関して、新しい発想や選択肢がある事をご紹介します。「ごみの処分」が楽しいと感じる時代はすぐそこまできているかもしれません。
ごみ問題の現状を知る
世界では毎年21億トンを超えるゴミが排出されていて、その中でもリサイクルされているのはわずか16%しかないということは知っていますか?
いま世界中で、一般ゴミや産業ゴミ・災害ゴミに関する問題・不法投棄による環境汚染の問題・焼却や埋め立てが追い付かない状況にあります。
このままごみ問題が進むと、埋め立てる場所がなくなる、資源が枯渇してしまう、環境を汚染してしまう、という問題が起こります。そして、ごみを減らさなければ、化石燃料を使い燃やし続けることになり、大量のCO2が発生することで地球温暖化が進んでしまうのです(※1)。
ごみ問題を食い止めるために、今回は、ゴミは捨てるしか選択肢がないのか、今あるゴミの処理方法以外の選択肢はないのか、ゴミの「処理」に焦点をあてていきます。
ごみは「捨てる」しか、選択肢がないのか
飲み終わった缶やペットボトルなどを、決められた曜日に出すことが、少し面倒に感じるときはありませんか。その面倒に感じる気持ちを無くし、ごみの処分を楽しいものへと変える商品があります。
それが、スウェーデンのデザインスタジオ「Tomorrow Machine」と、ヨーロッパ最大のフルーツ飲料メーカー「Eckes-Granini」がつくっているボトル!素材はじゃがいもで作られており、ジュースを飲み終わったあと、果物の皮のように手でむけるようになっているのです。しかし、このボトルの面白さは、なんといってもむき終わったらそれを食べたり、堆肥化したり、水に溶かすことができること(※2)!
「Tomorrow Machine」のボトルは、今までのごみ処分の概念を覆し、私たちにワクワク感を添えてくれそうです。微生物が生ごみを分解するコンポストのように、私たち人間もごみの分解に関わっているようですよね。
パッケージは食べられる時代
実は食べられる素材は日本でも使われています。
それが今年の4月に日本に上陸した、「捨てる必要がない梱包」がキャッチコピーとなっている、サステナブルな次世代パッケージ「BIOPAC(バイオパック)」。生分解可能で食べられる、海藻を原料としたプラスチックに代わるエコな梱包資材です。
環境に負荷が少ない方法で加工されており、水の使用は最小限に留め、有害な化学物質は一切不使用。海藻の栽培による炭素排出量の削減や、海中のプラスチック廃棄物の削減のほか、海藻農家への支援にもつながります。
また、捨てる必要がない梱包「BIOPAC」には、以下のような特徴があります。
①食べることができる
②お湯に溶ける
③加工性と安全性が高い
コーヒーやラーメンのスープのパッケージとして利用すれば、熱いお湯をかけてそのまま溶かして食べることができます。また、入浴剤の包みにすれば海藻成分が溶け出し、温浴効果を高めます(※3)。
無限大の可能性を持つ「BIOPAC」。
ゴミの処理方法だけではなく、包むだけのシングルユースプラスチックのあり方も変える兆しになりそうですね。
りんごの木になるスニーカー
どんなに環境に優しい素材も、適切に廃棄されなければ意味がありません。
生産者がどんなに環境に優しい素材で作ったとしても、そして消費者がそれを手に取ったとしても、廃棄まできちんと配慮されなければ環境負荷への努力がなかったことになってしまいます。そんな歯がゆさのなかから誕生したのが、「りんごの木になるスニーカー」です。
カナダで誕生したシューズ「Johnny」は、生分解可能な環境に優しい素材でできたスニーカー。
スニーカーのソール部分にりんごの種が入っており、使用後に土に埋めると、なんとりんごの木に育ちます。また、天然ゴムを使用しており、すり減って流出したソール部分は大地で肥料になります。履き終えたとき思わず適切に土に還したくなってしまいますね。
消費者がスニーカーを捨てるのではなく、自然へ循環させる導線をデザインした「Johnny」。
どうしても消耗して買い換えなければいけないアイテムも、「捨てない」選択肢があれば気持ちよく消費できるはずです(※3)。
ここから見えるシグナル
国内でも脱プラスチックを推進する動きが活発になってはいるものの、プラスチックが家庭ごみから完全になくなるには、もう少し時間がかかるでしょう。
以上の事例は、サステナブルな商品であることは言わずもがな、何より消費者が商品を消費し、分解する最後の段階まで楽しめるという点が斬新です。
私たちの生活には、どうしても消耗して処理しなければならない商品があります。しかし、ゴミの処分と一口にいっても、使用後は水に溶かしたり、食べたり、堆肥化するなど、「自分の手でゴミを分解する」と言う体験価値を提供できれば、消費者側も気持ちよく消費ができそうです。 その結果、循環型社会が形成され、ゴミ問題も解決につながるのではないでしょうか。
ごみ問題を解決するために、私たちが日常の中でゴミを減らすことももちろん重要です。
しかし、これからは少し視点を変えて、「どのようにゴミを処理するのか」「捨てるのではないごみの処理方法」を考えてみるのはいかがでしょう。
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