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プラスチックフリージュライに何をする?

7月はプラスチックフリー月間であることをご存じですか?
使い捨てプラスチックのゴミをなくすために、オーストラリアから始まり、世界中でアクションされているプラスチックフリージュライ
今回は、プラスチックフリージュライにあわせてプラスチックの削減に取り組んでいる企業をご紹介しつつ、未来の兆しを見つけていきます。

プラスチックと海の関係

便利でさまざまな場面で活躍してくれるプラスチックですが、ゴミとなったプラスチックは、海洋環境を汚染し、海鳥や海洋生物など海の生態系に影響を与えます。

海には1億5000万トンのプラスチックゴミがたまっていると推測されおり、さらに約8000万トンのゴミが毎年新たに流れ込んでいると言われています。一部は資源として循環していますが、レジ袋や包装のような「使い捨て」のプラスチックは川や海へと流れ込み、海の生物が誤飲したり、体に絡みついて取れなくなったりする原因になります(※1)。

私たちたちが1回切りで使い捨てたプラスチックが、実はいくつもの被害や悪影響を及ぼしている可能性があるのです。

プラスチックは石油由来であるという観点でも、環境配慮の素材ではありませんが、今回は「海を守る」という視点でプラスチック削減に貢献する企業の事例を紹介します。

海洋ゴミ

ナチュラルコスメブランド「LUSH」の取り組み

みなさんのバスルームに「パッケージが気に入った」「魅力的な特典があった」などの理由で、うっかり購入したのに使っていない、そのままゴミになってしまったような商品はありませんか?

このような現状から、英国発のナチュラルコスメブランド「LUSH」では、パッケージに惑わされず、個々のニーズに合った適切な商品を提供するパーソナルなサービスを大切にしています。そのためにソープ、バスボム、マッサージバーなどの固形の商品で保護紙や包装紙などのパッケージを不要とするネイキッド商品を展開しています(※2)。

2023年の6月末にはプラスチックフリージュライに合わせ、「スポンジ・ボブ」とのコラボレーション商品の発売開始。こちらもネイキッド商品で、プラスチック削減と海の環境を守るための取り組み「オペレーション・シー・チェンジ」とも共創しています(※2)。

しかし、「なぜスポンジ・ボブ?」と思った方もいらっしゃると思います。実は「オペレーション・シー・チェンジ」はスポンジ・ボブを放送するテレビチャンネル「ニコロデオン」によって立ち上げられた組織。ビーチクリーンの資金調達、サステナブル商品のプロモーション、スポンジ・ボブのファンへの海に関する情報発信など、さまざまな取り組みを行っているのです(※2)。

きっと、海底都市ビキニタウンにスポンジ・ボブだからこそ伝えられるメッセージや、伝えられる人々がいるのでしょう。

バスボム

プラスチックに頼らないライフスタイルを目指すユニクロ(UNIQLO)

プラスチックゴミが生まれるのはアパレルも例外ではありません。そこで、ユニクロでは服を「作る」「売る」「着る」にまつわるプラスチックごみを減らすために、私たちができることを発信しています(※3)。

たとえば、プラスチックバッグや一部のプラスチックパッケージの廃止など、お店で使用されていたプラスチックを代替品へ切り替える取り組みが進んでいます。シャツのクリップやハンガーなど細かいプラスチック製品のリサイクルや代替品の検討も進んでおり、ユニクロによると年間で約7800トンのプラスチックパッケージ類やショッピングバッグを削減できるそうです(※4)。

また、私たち消費者がマイクロファイバーを出さないように取り組めることも提示。洗濯ネットを使う、選択の回数を見直す、服を長く大切に着る、という日々の生活でできるマイクロファイバー対策もあり、身近なことからアクションをとれる内容となっています(※3)。

企業がプラスチック削減に向けてどういった取り組みを行っているのか、ウェブサイトで見かけることは珍しくありません。しかし、企業だけでなく消費者も取り組めることを発信することで、一緒に課題解決に貢献している実感を味わえるのではないのでしょうか?

折りたたまれた服

ここから見えるシグナル

LUSHがプラスチックフリージュライの期間のみネイキッド商品を販売していたら、与えられる社会的インパクトは小さいでしょう。しかし、企業として一貫して環境配慮を訴えているため、共感する消費者は「LUSHの商品なら買おう」と思います。

また、ユニクロはマイクロファイバーについて発信することで、プラスチック削減の取り組みを店舗で完結させず、購入者も取り組めるようにしています。売る間だけでなく、買われた後も考えたプラスチック削減の取り組みといえるのではないでしょうか?

どちらも一時的なキャンペーンや一部だけの取り組みにせず、どうやったら商品を購入後も消費者の行動に影響を与えられるかを考えています。これは、企業の考慮すべき、時間や範囲が広くなっているということではないでしょうか?社会問題に取り組むのはトレンドだからやることではなく、一人で解決できるものでもありません。企業と消費者が長期的に取り組む必要があり、その関係をきずける仕組みが求められているのではないでしょうか?

※1 プラスチックの何が問題なの?|UNIQLO
※2 LUSHが人気アニメ「スポンジ・ボブ」とのコラボレーション商品を6月29日(木)より発売 7月から始まるプラスチック・フリー・ジュライに向けプラ容器を使わない商品全6種を展開|PR TIMES
※3 服を「作る」「売る」「着る」にまつわるプラスチック|UNIQLO
※4 プラスチックに頼らない新しいライフスタイルを、みんなで|UNIQLO

ライター情報:倉岡美亜
早稲田大学 国際教養学部卒。大学ではマイノリティなどについて研究。小学2年生からガールスカウトとして活動。2022年にメンバーズ新卒入社し、社内外のサステナブル推進を担う。

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