『共有価値を創る3つのポイント』(後編)
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NPO・NGOを巻き込む
共有価値を創出するうえで重要になる2つ目のポイントは、NPO・NGOとの協働が挙げられます。前編でお伝えしたadidasは、プラスチックゴミゼロを目指し『RUN FOR THE OCEANS(※1)』という取り組みを実施していますが、このキャンペーンのadidasの協働パートナーは、海洋環境保護団体NGO Parley for the Oceans(※2)でした。
では、なぜNPO・NGOと協働する必要があるのかと言えば、それら団体は自らが定めたテーマ、つまり関連する社会課題に対しての知見があり、社会課題そのものや社会課題が起きている要因を熟知しているからです。最近耳にするグリーンウォッシュ、SDGsウォッシュといった企業リスクに対しても、NPO・NGOの活動を知って意見に耳を傾けることは重要であり、それら団体と協働することで、企業が取り組む意義や果たすべき責任も明確になります。また、活動の成果や可視化、つまり、ソーシャルインパクトを測定するうえでも有効な手段となるでしょう。
共感性の高いメッセージ「MTP」とは?
そして、3つ目の重要なポイントは共有価値を創出するために共感性の高いメッセージを掲げることです。パタゴニアやアップルといった環境への取り組みが積極的な先進企業のミッションやサステナビリティサイトを見れば、いかにメッセージが共感性を高めるうえで大きな役割を果たしているかが理解できるでしょう。そこには強い意志表示と決意が込められ、その伝達力は多くの企業が見習うべきです。では、そうしたメッセージをどのように考えるのか?そのヒントをお伝えしましょう。
シリコンバレーのNASAの広大な敷地内に2008年に開設したシンギュラリティ大学。主な活動は、様々な社会課題を最新のテクノロジーを活用して解決すること、そして、スタートアップへのインキュベーションを実施しています。
そうした取り組みのなかで、シンギュラリティ大学は、飛躍的に成長する企業の条件の1つに、それら企業は、MTP(Massive Transformative Purpose 野心的な革新目標)と呼ばれるステートメントを保持していることを伝えています。そして、企業がMTPを設定するメリットして、「文化的なムーブメントの創出」、「エコシステムの形成」、「優れた人を引き寄せる」などが挙げられています。まさに共感性を高める仕組みための要素がMTPには含まれていると言って良いでしょう。
ここでは、『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』 サリム・イスマイル著(日経BP社)※3で紹介されているMTPの例と作成するうえでのポイントを紹介しましょう。
【MTPの例】
Google:世界中の情報を整理する
TED:価値あるアイデアを広める
GoPro:もっともも大切な瞬間をとらえ、共有するのを助ける
シンギュラリティ大学:10億人の人々に良い影響を与える
【MTP作成のポイント】
なぜそれを実行するのか? なぜ私たちの会社は存在しているのか? を考える
自分が本当に関心を持っているものは何か? 自分は何をする運命にあるのか? を考える
もし絶対に失敗しないとしたら、何をするか? もし今日10億ドルが手に入ったら何をするか? を考える
3つのポイントを実行する
ぜひ、皆さんもMTPの作成ステップを参考に社会課題解決型のキャンペーンやコミュニケーションを対象として、MTPを作成してみてはいかがでしょうか?
前編でお伝えした「生活者との共創」、「NPO・NGOとの協働」と併せて、「MTPの作成」は共感性の高いメッセージとなり、共有価値創出に大きな役割を果たすことでしょう。
※1:adidas RUN FOR THE OCEANS
※2:Parley for the Oceans
※3:シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法
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