新たなサスティナビリティ戦略: エクスペディアが進める Made to Travel™ Fundをインサイト
エクスペディアは「Made to Travel™ Fund」の初年度の助成金先を発表しました。その金額はなんと150 万ドル超えます。
これは「旅行の障壁を取り除く」という共通の目標を共有する非営利団体に助成金を与えるプログラムで、社会的意義の提供と自社ビジネスの発展という2軸を両立させたサスティナビリティ戦略といえます。
では内容をご紹介していきます。
Made to Travel™ Fund とは?
エクスペディア「Made to Travel™ Fund」は、世界中の旅行の障壁を取り除くために取り組む非営利団体や組織を支援する助成金プログラムです。エクスペディアグループの社会貢献を目的としたサステナビリティ戦略の一環として、2023年11月に設立されました。
本基金は、人々が旅行を通じて世界を探索することを妨げている不平等を減らすために取り組んでいる多くの組織に焦点を当てています。
助成金の対象となるのは、「空の旅をよりアクセスしやすくすること」「アフリカへの生得権旅行を後援すること」「資源が不足している地域の子どもたちのパスポート取得を支援すること」など、人生を変える旅行体験へのアクセスを増やすことに尽力している組織です。
対象となる組織
対象となる組織は、以下の基準を満たすものです。
旅行の障壁を取り除くことを目的とした組織
旅行の機会を拡大することによって、社会的・経済的・環境的なインパクトを創出する組織
透明性と説明責任を重視し、効果的な運営を行う組織
ビジネスインパクト
エクスペディア Made to Travel™ Fund は、旅行業界に大きなインパクトを与える可能性を秘めています。
旅行の障壁を取り除くことで、これまで旅行の機会に恵まれなかった人々を旅行市場に引き込み、旅行業界の新たな顧客層を創出する。
旅行の機会を拡大することで、旅行業界の成長と発展を促進する。
旅行を通じて社会に貢献することによって、旅行業界の社会的責任を高める。
社会的意義
エクスペディア Made to Travel™ Fund は、以下の社会的意義を有しています。
旅行の機会を拡大することで、多様な人々の交流と相互理解を促進し、社会の多様性と包摂性を高める。
旅行を通じて、教育、雇用、経済成長などの機会を創出し、貧困や格差の解消に貢献する。
持続可能な旅行の推進を通じて、環境保護と気候変動対策に貢献する。
助成金獲得者
初年度の助成金獲得者は、以下の17組織でした。
All Wheel Up
障害者の旅行に関する研究と社会的アピールを通じて、より安全で尊厳のあるアクセシブルな航空旅行に対する活動を実施ARRAY Alliance
女性主導の非営利団体で、助成金作成、メンターシップ、教育などのプログラムを提供し、芸術を通じて旅行を促す活動を推進Birthright AFRICA
13 歳から 30 歳までのアフリカ系の若者に、自分たちの文化的ルーツと米国内の遺産を探求する旅行を推奨。生まれながらの権利として自身のアイデンティティとなるアフリカの国々への旅行を促している団体BoyzN The Wood
黒人男性に対し、アウトドア体験を通じて最高の自分を取り戻し、メンタル面でのやる気を起こさせるアウトドア体験を提供する団体Disability Rights Fund, Inc.
障害者の団体に資金的および技術的リソースを提供し、平等な権利と社会への完全参加を促す団体Family Holiday Charity
休暇が必要だが休暇を取りたくてもとれない環境にいる家族に旅行の機会を提供する団体Girls Going Global
アフリカ系アメリカ人やマイノリティなどで過小評価されている少女たちに旅行のチャンスを提供。旅行を通じて世界を感じ地球市民としてのホコリをもつように促す団体Global Glimpse
あらゆる背景を持つ学生が、共感とグローバルな視点を持ってリーダーとなれるような革新的な旅行体験を提供する団体IGLTA Foundation
世界中のLGBTQ+に対して、さまざまな旅行を促進するための業界団体。リーダー育成やコミュニティの取り組みも支援National Park Foundation
国立公園局の公式非営利パートナーであり、現在および将来の世代のためにアメリカの国立公園を保護し強化するための民間支援と戦略的パートナーシップを提供Paralyzed Veterans of America
筋萎縮性側索硬化症(ALS)や多発性硬化症(MS)などの脊髄損傷や疾患を抱えた退役軍人に充実した自立生活を提供する団体Rainbow Railroad
危険にさらされている LGBTQI+ の人々が迫害の場所から移住するのを支援する世界的な非営利団体The Cultural Heritage Economic Alliance
持続可能な観光への取り組みを通じて、BIPOC(補: Black, indigenous and people of color/黒人、先住民や有色人種) の組織や学生に包括的かつ公平な機会を創出する団体The Venture Out Project
クィア(Queer)やトランスジェンダーのコミュニティのためのバックパッキングや自然豊かな旅行を提供する団体Too Fly Foundation
困窮地域の学生たちにインスピレーションを与え、パスポート、旅行補助金、教育体験を提供し、彼らにも世界を見ることができる機会を提供する団体UnTours Foundation
リセットツーリズム(環境や社会に対する影響を最小限に抑え、より持続可能で責任ある形で観光を実践する取り組み)を通じて、旅行業界のより良い未来を築く企業に柔軟な資金を提供している団体World Affairs Council
コミュニティのグローバルな視点を深めることに取り組む団体に向け、講演者、ディスカッショングループ、教育体験などのプログラムを提供する団体
結論
エクスペディア Made to Travel™ Fund は、旅行の障壁を取り除くことで、社会に大きなインパクトを与える可能性を秘めたプログラムです。旅行の障害≒社会的課題と捉えることがサスティナビリティにつながります。また新たな旅行層を開拓することにつながりますのでビジネス的効果も高い施策といえます。エクスペディア Made to Travel™ Fund の今後の展開に注目です。
そうそう、2024年の助成金申込も受け付けているので、エントリーしてみるのはどうでしょうか。
編集後記
この記事を書いていてカンブリア宮殿で見たホテルのサブスク「HafH」の話をふっと思い出しました。
HafHは、従来の旅行予約サービスとは大きく異なるビジネスモデルです。従来の旅行予約サービスは、宿泊施設ごとに予約を行う必要がありますが、HafHは毎月定額を積み立て、それを原資に全国の複数の宿泊施設に宿泊するビジネスモデルです。旅行積立の進化版ともいえます。また、HafHは宿泊施設の空室状況に応じて、割引や特典が適用されるため、お得に旅行を楽しむこともできます。
日本人の国内旅行参加率は50〜60%程度。HafHは、従来の旅行予約サービスでは掴めきれない、普段旅行しない人、いずれ旅行したいと思ってもなかなか行動を起こさなかった残りの40%の層を開拓できるチャンスがあると、星野リゾート代表の星野佳路氏は「カンブリア宮殿」で語っています。
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/business/entry/202305/13267.html
このエクスペディア Made to Travel™ Fundもそうですが、サスティナビリティ視点で従来型ビジネスをリデザインすると、新たなビジネスチャンスが生まれそうですね。え、「我が社のサービスをリデザインしてみたい!」ですって?!・・・下記の#SOL1がそれです!ご連絡お待ちしています。
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