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サーキュラーエコノミー戦略 #4 Regenerate

「Circularity Deck」は、5つの戦略と3つの階層で構成された51の戦術から構成されているカードツールです。「Circularity Deck」の紹介はこちら


概要

再生可能で無害な材料を使用し、ライフサイクルの各段階で再生可能なエネルギーを利用することで環境改善を目指す戦略、それがこの「Regenerate(リジェネレイト)戦略」です。

リジェネレイトは「再生する、再建する」という語意。一度機能しなくなったもの・状態を、再び機能するもの・状態に戻すニュアンスを持ちます。

解説

本来、人間は自然の一部であり共生すべき存在です。しかし、大量生産・大量消費であるリニア経済は、経済活動を自然から分離させ、自然を搾取・破壊しながら、拡大してきました。

当然、その背景には企業が低コスト調達を目指した(コストコンシャスな)活動を続けてきたことがあげられます。利益確保を優先し、競争相手に勝つためには当然のアプローチともいえますが、結果として、さまざまな環境問題を含めた社会的課題の種を巻き、自然を痛めつづけてきたことも事実です。

では、すでに多くの環境は傷ついているなか、自然のシステムを乱したり壊したりするスピードを緩め、現状維持(サステナビリティ)させるだけで充分でしょうか。経済活動と自然を結びつけ、企業の行動により自然の再生につなげることが、このリジェネレイトの戦略です。

たとえば、肥料や農薬。農産物の収穫に大きな影響がでるので、まったく使わないわけにはいきません。化学肥料や化学農薬の利用は一時的な収穫高の増加をもたらしますが、近隣の自然環境に大きなダメージを与えてきました。その代用品として、人間や鳥、魚、受粉媒介者に安全な生物学的農薬を使用することで傷ついたエコシステムは回復する兆しがみえてきています。

リジェネレイトの目指す方向性は、自然と調和すること。すべてのインフラと生産・消費システムを、自然のエコシステムの循環に貢献するものにし、生態系の再生に導いくことを目指しています。具体的には、エコシステムサービスを管理・維持し、再生可能で無害な素材を使用し、再生可能なエネルギーを用いた事業活動などが該当します。

戦術

Circularity Deckにおいて、リジェネレイト戦略は次の10の戦術から構成されています。

Regenerate x Product 1:自己充電可能な製品をデザインする
Regenerate x Product 2:再生可能な素材を用いたデザインにする
Regenerate x Product 3:無害な素材を使ったデザインにする

Regenerate x BusinessModel 1:再生可能エネルギーによる生産・加工を実現する
Regenerate x BusinessModel 2:再生可能エネルギーでの輸送を実現する
Regenerate x BusinessModel 3:製品使用に再生可能エネルギーを利用する

Regenerate x EcoSystem 1:既存インフラに再生可能エネルギー生産を担わする
Regenerate x EcoSystem 2:都市部から出る栄養分を回収する
Regenerate x EcoSystem 3:汚染れたエコシステムを再生する
Regenerate x EcoSystem 4:重要なエコシステムの管理と持続を実現する


まとめ

これを実現するための主な手法としては、無害な素材を使ったデザインにする、再生可能エネルギーによる生産・加工・輸送を実現する、都市部から出る栄養分を回収する、汚染されたエコシステムを再生するなどが当てはまります。

*この記事の情報は 2023年5月メンバーズコラム掲載当時のものです。

ライター情報:数藤雅紀
株式会社メンバーズ 脱炭素DXカンパニー
循環経済&サスティナビリティ推進 ラボ所長
ケンブリッジ大学経営大学院循環経済プログラム修了
Global Compact Network Japan サーキュラーエコノミー分科会共同幹事
もと山一證券。金融・デジタル・DX・循環経済を得意とする。
Note:https://note.com/suto410
Facebook:https://www.facebook.com/Sutoh/

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