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脱炭素経営に求められる「LCA(ライフサイクルアセスメント)」

「地球温暖化の時代は終わり、地球が沸騰する時代がきた。異常気象がニューノーマル(新常態)になってしまっている。指導者は気候変動対策や気候正義に向けた努力を強化しないといけない」国連 グテーレス事務総長(出所:日本経済新聞本紙 2023.7.28)


世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は8月27日、2023年7月の世界の平均気温が観測史上最高となる見通しを発表しました。日本国内でも日中の最高気温が40℃に迫ることも日常茶飯事となり、先月の秋田市内を襲った大雨による浸水被害は、私たちの記憶に深く刻まれることになるでしょう。

肌感覚で実感する気温の上昇、日本国内でも甚大な被害をもたらす気候変動の被害・・・、皆さんもご存じのとおりそれら要因の一つが、地球を取り巻く温室効果ガスの濃度が高まっていること。そして濃度が高まったことで、平均14℃といわれる地球の平均気温が上昇していることにあります。

世界の多くの国々が、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにする脱炭素社会の実現を目指すなか、当然ながら企業も、脱炭素社会の実現に取組み、貢献すること、つまり脱炭素経営が求められています。脱炭素経営を目指す上で、私たちが重視しているのが、炭素生産性の向上により、ビジネス成果向上と温室効果ガス排出量の削減を同時に達成するデカップリングを実現することにあります。

では、温室効果ガス排出量削減に向け、企業はどのような取組みが求められるでしょう?脱炭素経営を目指す上で、その切り札の一つLCAであることをお伝えしましょう。

ライフサイクル全体での環境負荷可視化の重要性

脱炭素経営を目指す上で、炭素生産性を向上するために、さまざまな施策が求められますが、その一つにLCAの活用が挙げられます。LCAとは、ライフサイクルアセスメントの略で、製品やサービスのライフサイクル全体、つまり、資源採掘~原料生産~製品生産~流通・消費~廃棄・リサイクルの全工程において環境影響を評価する手法です。

温室効果ガスを排出する従来のエンジンを搭載するガソリン車が環境に悪影響を与え、走行時には温室効果ガスの排出が全くない電気自動車は環境に良い製品だ、と多くの人は思いがちです。しかし、環境への影響を正確に把握するためには、その製品の原材料がどのように採掘され、どのように作られたのか?そして、どのように使用され廃棄・リサイクルされたのかをトレースする必要があります。

電気自動車を製造する工場は大量の温室効果ガスを排出していたら? 車載バッテリーの原材料採掘で生物多様性に多大な影響を与えていたら?バッテリーが再利用されることもなく廃棄処分されていたら? ライフサイクルの各プロセス別に環境影響を把握することはとても重要であることが理解できるでしょう。

そして、環境影響負荷削減を目指すには、それぞれのライフサイクルの各プロセスにおいて、(ここでは温室効果ガス排出削減に絞り表記)どれだけの温室効果ガスが排出されているのかを把握し知ることは脱炭素経営の起点となるのです。

さらに、LCAを活用することにより、企業が提供する製品やサービスの環境への影響を可視化し提供することが可能とります。ライフサイクルの各プロセスで可視化できるということは、どのプロセスの環境負荷が大きく、温室効果ガス排出であれば、削減をすることで、環境に配慮した低炭素製品の開発や製造、または、新しい販売モデルの提供につながります。これら施策を進めることで、脱炭素経営実現の一歩を踏み出すことができるのです。

LCAを企業価値向上とマーケティングに活かす

サステナビリティ経営をパーパスに掲げる海外の先進企業は、LCAの結果を公開し、企業ブランディングやマーケティングに活用する例が見受けられます。

自然災害の頻発により、気候変動は生活者にとっても喫緊の社会課題として認識されています。人類最大の社会課題ともいえる気候変動に積極的に取り組む企業は、カスタマーとのエンゲージメント強化につながり、ESGの観点から投資家の評価も高まることでしょう。

LCAの算定には、未経験の企業にとって、多くのハードルがあります。算定する上でのサプライヤーを含めたデータ取得が困難であり、LCAの算定には、専門的な知識が必要で、ヒト・モノ・カネも必要です。そうした企業の方々に向けて、脱炭素DXカンパニーでは、以下ソリューションを提供しています。

脱炭素経営に求められる脱炭素DXカンパニーのソリューション

ライフサイクル全体での環境負荷を可視化する「1.LCA算定支援」や、循環経済の実現を目指し、新しいサービスモデルを開発するためのオランダで開発されたツール(サーキュラリティデッキ:社内で埋没しているアイデアを発掘。サーキュラーエコノミー実現のためのツール「サーキュラリティデッキ」とは?)を活用した「2.サーキュラーデザイン支援」、自社の脱炭素や循環経済の活動に加え、デジタル領域での温室効果ガス削減を推進し、それら活動をを広く社会へ訴求する「3.サステナブルマーケティング支援」などにより、企業の脱炭素経営に貢献しています。

【脱炭素DXカンパニー 提供ソリューション】


ただし、これら施策を進めるには、サプライヤーやカスタマーとのエンゲージメントが必須であり、それを成し遂げるには何よりも社内外を対象としたマインドセットつまり、「4.社内外向け意識改革・エンゲージメント構築支援」が求められるといえるでしょう。そして、これらの施策を進めるためには、人的リソースが必要であり、それを担うのは脱炭素DXカンパニーが提供する、カーボンリテラシーとデジタルスキルを併せ持った「5.脱炭素DX人材」であると確信しています。

脱炭素社会の実現を信じ、信念を持ってこれらソリューション提供を行う脱炭素DXカンパニーにご期待ください。

ライター:萩谷 衞厚
外資系IT企業、コンサルティング会社を経て、2015年5月メンバーズ入社。様々なCSV推進プロジェクトを担当、2018年よりSocial Good Companyの編集長、2022年度からは、150か国をネットワークする環境NGOの公式日本法人 一般社団法人アースデイジャパンネットワークの共同代表を務める。現在は、CSV本部 脱炭素DX研究所に所属。

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