脱炭素社会へ一足跳びする方法<前編> 指数関数的な成長を支える「野心的な変革目標」とは?
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脱炭素社会へ一足跳びする方法<前編> 指数関数的な成長を支える「野心的な変革目標」とは?

以前、新たなイノベーションに必要な「ムーンショット」という考え方についてご紹介しました。今回の記事では、具体的にムーンショット的発想を実現する方法をお伝えします。

「野心的な革新目標」を掲げる

ムーンショットを実現する方法として紹介する1冊目の本が、こちらです。

本のタイトルにもある「シンギュラリティ大学」とは、AIの研究では世界的権威として知られるレイ・カーツワイルと、Xプライズ財団 CEO ピーター・ディアマンディスにより、2008年にシリコンバレーで設立された大学です。

大学という名称を掲げていますが、あまりにも自由すぎるカリキュラムのため、大学としての承認を得ることはできなかったようです。メインの校舎も授与される学位もありません。教育、エネルギー、環境、食糧、世界的な保健、貧困、セキュリティ、水資源などの課題解決のために積極的に取り組むことをミッションとし、今では世界中からグローバル企業の経営層や起業家が集まっているようです。

さて、シンギュラリティ大学は、ビジネスを指数関数的に急成長している企業の特徴の1つに、野心的な変革目標(MTP=Massive Transformative Purpose)を掲げていることを挙げています。
つまり、ムーンショットを実現する手段の1つに、MTPの存在があるということです。

「野心的な革新目標」 MTPとは?

MTPの定義は、後編で紹介する、シンギュラリティ大学修了者の斎藤和紀氏による書籍「エクスポネンシャル思考」でまとめられています。

(以下、引用)
<MTPの定義>
世界を対象とした人類規模の目標であり、多分に野心的であり、人類にとって大きな変革を意味するもの
<MTPの特徴>
・世界を表現する
・非常に向上である
・独創的である
・人類規模の課題解決である
・長い間変わらない
・変革を必要とする
・遂行可能である
・気持ちに訴えかける

では、実際にMTPをどのように考えればいいのでしょうか?
書籍「シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法」では下記のように示しています。

(以下、引用)
優れたMTPをつくる上で絶対に欠かせないのが、「目標」である。 ~中略~  目標とは次のような質問に答えるものでなければならない。
・なぜそれを実行するのか?
・なぜ私たちの会社は存在しているのか?

あらゆる商品やサービスがコモディティ化し、競合他社との差別化が難しくなっている昨今において、自社はなぜ存在し、何のためのその事業を行うのかを明文化し、社内外に対して意志統一を図ることは重要であり、差別化戦略となるのです。
自社のこと、自社が提供する商品やサービスのWHYを改めて考えてみましょう。

そして、MTPを考える上でのもう一つのヒントが、どのような内容を達成するのか、その達成目標を数値で表現し、MTPに含めることです。その目標を達成する時期も入れると分かりやすいでしょう。

ボルボは、2007年に発表したVision 2020で、「2020年までに、新しいボルボ車に搭乗中の事故による死亡者、そして重傷者をゼロにする。」の目標を掲げました。

シスコシステムズは、「The Bridge to Possible」というキャッチフレーズと、「2025年までに、10 億人により良い機会を与える」というメッセージを掲げています

両社ともこうしたビジョンやメッセージをMTPとは定義していませんが、まさに目標達成時期と具体的な目標数値を掲げるMTPベストプラクティスと言えます。

当社がファシリテーターを務めるワークショップでは、自社のWHYやMTPを考えるワークを実施しています。ご興味があればぜひサービスページをご覧ください。

グローバル企業のMTPとは?

書籍「シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法」では、様々な企業の指数関数的な成長をケーススタディとして、主な組織のMTPを紹介しています。

<主なMTPの例>
・Google 「世界中の情報を整理する」
・TED 「価値のあるアイデアを広める」
・シンギュラリティ大学 「10億人の人々に良い影響を与える」
・Xプライズ財団 「人類にとって有益な、費用的技術革新を実現する」

共通するのは、壮大な夢を追う内容で、社内に加えて、社外の関係者にも訴えるかける内容であること。そして、従来の延長線上の成長とは異なる、抜本的な変革を目指し、強い意志を感じる内容になっています。

例に挙げたXプライズ財団は、1995年に設立された非営利団体。

掲げているMTPに則り、人類のための革新的な課題解決により、新たな産業の創出と市場の再活性化を刺激することを目的に様々なビジネスコンテストを開催しています。

先日もテスラ創業者、イーロン・マスクと共に、地球温暖化の原因であるCO2の回収、貯蔵するアイデアを競うコンテストの実施が発表されました。その賞金総額は、なんと1億ドル!

地球温暖化の要因で人間活動により排出されるCO2。CO2排出を減らし、排出を抑えることに加え、大気中のCO2を回収したり、回収したCO2を地中などにため込む技術が注目されていますが、新しいアイデアに期待大です。

ちなみに、マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツが1970年代に掲げたミッションは、「すべてのデスクと、すべての家庭に1台のコンピューターを」 (A computer on every desktop and in every home.)でした。

今となれば当たり前の目標に感じるかもしれませんが、その当時は夢のような目標であったと言えるでしょう。

あなたの会社には、MTPに相当するステートメントはありますか?ご自身の会社や担当する業務でMTPを定義するとしたら。皆さんもトライしてみましょう。
後編では、ムーンショットを実現するもう一つの方法を紹介します。次回もお楽しみに。

ライター:萩谷 衞厚
2015年5月よりメンバーズ入社。様々なCSV推進プロジェクトを担当、2018年よりSocial Good Companyの編集長を務める。

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