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「美しい地球を残す~その想いに込められたDNAを伝え次世代に引き継ぐ」 パナソニック:Social Good Company #59

※この記事の情報は2021年02月05日メンバーズコラム掲載当時のものです

日本を代表するモノづくり企業 パナソニック。発売15周年を迎えた「エネループ」のリブランディングサイトオープンに合わせて、ご担当者のおふたりに、商品やサイトの意義、脱炭素社会に向けた想いをおうかがいしました。

  • 「未来の子どもたちに美しい地球を残す」を次に世代に引き継ぐ

  • 新しいチャンレジをすることでブランドも進化する

  • 商品を使うことで自動的にサステナブルな活動に参加できるというのが理想である

<インタビューにご協力いただいた方々> ※文中敬称略
パナソニック株式会社 インダストリアルソリューションズ社 エナジーデバイス事業部
● 課長 水田 一久 さま(右)
● 同 八木 南帆 さま(左)
<プロフィール>
● 水田 一久 さま
1993年京都市立芸術大学 美術学部デザイン科卒業 三洋電機入社。2005年からエネループシリーズのグラフィック・プロダクトデザイン開発に従事。2015年パナソニック株式会社へ転籍し現職。グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)・金賞 ドイツiFデザイン金賞等 受賞多数。
● 八木 南帆 さま
2014年北海道大学 理学部生物化学科卒業 パナソニック株式会社へ入社。入社より電池・電池商品の商品企画を担当し、2018年はベルギーの販売会社にてマーケティング業務に従事。現在は、グローバルでのブランディング活動やオンラインコミュニケーションを担当。

● この度、エネループ15周年のWebサイトをオープンしています。その目的や狙いを教えていただきけますか?

八木:エネループは日本国内で広く認知されていますが、海外ではまだ認知度が高いとは言えません。そこで、海外でのエネループの認知度を上げることに加え、エネループがサステナブルなブランドであることをより強く打ち出したいという想いで、リブランディングサイトを立ち上げました。

● 商品開発やプロモーションを通して、サステナブルな商品やブランドに対する消費者意識の変化を感じますか?

八木:ターゲットエリアである欧州におけるサステナビリティーへの関心はより高まっていると思います。日本と比べて、環境への意識が圧倒的に高いと身を持って感じました。身の回りのプラスチックやペットボトルの利用を減らすなど、普段の生活のなかでできる行動も積極的に行われています。

しかし、使用機器によって乾電池を充電池に変えるというオプションに気が付いているお客さまはまだ少ないと感じています。リピートユーザーからの高い評価を得ている商品ですので、まずは手に取っていただくことが重要です。環境に配慮した商品、生活スタイルとして、今後も可能性があると考えています。

● おふたりには、15周年リブランディングサイトのターゲットやコンセプト策定から関わっていただいています。

八木:これまでも、エネループは環境にやさしく、使いやすい商品であることを伝えてきました。そして、何度も新しい訴求方法を模索し続けてきました。商品に関わってきた開発者などの熱い想いを汲みながらも、以前とは違う切り口でサステナブルさを発信していくという2つの軸、つまり過去から大切にしてきたものと新しさとの両方をうまく表現することができたと感じていますので、今後のお客さまの反応が楽しみです。

パナソニック eneloop Webサイトより

水田:私は以前より、エネループの商品デザインを担当してきました。昨年度から、ブランディングにも関わっていますが、とても難しい仕事であると感じています。絶大な認知度がある日本と違い、海外の市場において、まずはエネループをどう知っていただくかということに頭を悩ませました。

最初に取り組んだことは、ターゲットは北米と欧州であることを明確にしたこと、そして、パートナーの会社を探すことでした。3社にお声掛けをさせていただきましたが、そのなかの1社がメンバーズさんでした。過去の実績や海外とのネットワークもあり、海外の市場を理解する会社をパートナーとすることがベストであると判断し、ご一緒させていただきました。

八木:これまでのプロジェクトは、エネループのコンセプトや商品を理解している方々と一緒に進めてきました。進めやすかった側面もありますが、今回のプロジェクトでは、自分の考えが固定観念にとらわれてしまっていることに気付くことができました。

新しいパートナーと取り組むことで、これまで当たり前だと感じていた情報にも、お客さま視点では情報の受け取り方にギャップや違いがあることを理解でき、大きな学びとなりました。

● 自らがコンセプト作りやクリエイティブにも関わり、立ち上がったWebサイトはいかがですか?

水田:Webサイトのキービジュアルには様々な考えがあると思います。これまでのキービジュアルは5年以上使用しているものでした。ブランディングにとって、同じキービジュアルを使い続けるという選択もありますが、同じキービジュアルはブランドの固着化、つまり進化していない印象も与えてしまうと感じています。

もちろん、これまでの商品に対する想いを残していくことは重要です。キービジュアルを考えるうえで、想いを残すところ、変えるところを明確にしたいと考えていました。新しいチャレンジなしにブランドは進化しません。ブランドに新しい血を入れるために、新しいパートナー会社と連携することによって、新しい切り口も発見できました。

● 今回のWebサイトでの新しい血というのは、どのようなクリエイティブで表現していますか?

水田:重要なのは、目に見えるクリエイティブよりも、表現するうえでの考え方にあります。その考えが文章表現やクリエイティブにも表れると感じています。環境や社会を良くしたい、こうありたいという想いの強さが重要です。新しいプロジェクトチームによりその想いを表現できたと思います。

● 今後のプロモーションの計画などがあれば教えてください。

水田:エネループを購入することで、環境に関する取り組みに対する寄付につながるプロモーションができればと考えています。また、今後は、環境に関連するコンテンツの提供など、アクセスしたお客さまが楽しめるWebサイトにしたいと思います。

これまで、コーズリレーテッド・マーケティングのような取り組みができていませんでしたが、15周年をきっかけに検討したいと考えています。

● 最近、多くの企業で、直接的な商品紹介に加えて商品に関連するコト軸や人にフォーカスしたコンテンツを発信する傾向にあります。たとえば、環境に関心の高いお客さまがそうしたコンテンツにアクセスし、商品の認知や企業への信頼性を高める手法です。

水田:そうしたコンテンツの発信にも、今後取り組んでいきたいと思います。

八木:現在のWebサイトでは、まずサステナブルなブランドとしてのイメージ作り、および商品情報をわかりやすく掲載することに注力してきました。今後は、特に若い世代・次世代に対して、環境にやさしい商品であることを伝えるプロモーションができればと思います。

また、これまで利用していただいている既存のお客さまに対して、何かしらの感謝を伝えていきたいです。そして、お客さまと一緒にその価値を伝える取り組みができればと思います。

● パナソニックさんは、RE100にも参加し、環境ビジョン2050では「使うエネルギー」よりも「創るエネルギー」を増やすという目標を掲げています。イニシアティブへの参加、高い目標を掲げることでの社内の変化などはありますか?

八木:弊社の工場では、以前からCO2排出の削減に積極的に取り組んでいます。また、海外の社員との会話では、環境面からの質問や指摘も増え、世界中で環境意識が高まっていると感じます。

パナソニックWebサイト 環境ビジョン2050より

水田:社内の環境やサステナビリティへの意識を高めることは重要です。また、お客さまが何も意識をしなくても、エネループを使うことがサステナビリティーにつながり、自動的にサステナブルな活動に参加できるというのが理想であると考えています。

● 2050年の脱炭素社会に向けて、エネループご担当者のお立場からメッセージをお願いいたします。

八木:環境問題は、社会の仕組みを変えることなど、大きな視点で考えることが重要です。しかし、個人のアクションや気付きなしに未来を変えることはできません。

若い世代は環境意識も高く、企業の取り組みや考えが購買行動にも影響を与える層が増えていると感じています。「エネループを使うことで、日々の行動を考えるきっかけとなる」ように、これからもエネループを通じてメッセージを伝え続けたいと思います。

水田:2050年は、私の子ども世代が引き継ぐ社会となります。エネループは、「For Life & The Earth」という商品コンセプトを原点に、サブメッセージとして、「未来の子どもたちに美しい地球を残す」を掲げています。そのメッセージは、私たちの世代でもなんとか地球環境を守り、次の世代にも良い地球環境を引き継いで欲しいというものです。

2050年の脱炭素社会にエネループが貢献できることはわずかかもしれません。しかし、その想いに込められたDNAを若い社員や関係者の方々に知って頂き、次の世代にも伝えて欲しいというのが私の願いです。

ライター:萩谷 衞厚
2015年5月メンバーズ入社。様々なCSV推進プロジェクトを担当、2018年よりSocial Good Companyの編集長、2022年度からは、アースデイジャパンネットワークの共同代表を務める。

※この記事の情報は2021年02月05日メンバーズコラム掲載当時のものです

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