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欧州の買い物事情はこう変わっている!? 英国百貨店から見る今後の買い物の在り方

YouTubeで現在配信中の【循環経済】シリーズ。noteでは【循環経済】シリーズを文章でも簡単にご覧いただけるように、まとめてお届けします。

今回は、イギリスを中心に展開しているスーパーマーケット「Marks&Spencer(マークスアンドスペンサー)」についてです。ハーチ欧州の富山さん、伊藤さんと一緒に、イギリスのお買い物事情について考えていきます。

Marks&Spencerってどんなお店?

Marks&Spencerは、1880年代に創業されたイギリスの小売業界の中でもかなりの老舗企業と言えるスーパーマーケット。食品から衣類まで、さまざまな商品が揃っていて、イギリス国民にとって困った時の強い味方です。

Marks&Spencerの取り組み

エシカルな取り組みを行わないと、そもそもビジネスが成り立たないとまで言われているイギリス。当然、Marks&Spencerも数々の取り組みを行っています。

大きな取り組みの1つが「Plan A」というもの。これは、フランスのマクロン大統領の「There is no Plan B(プランBは存在しない」という考え方のもと作られた、Marks&Spencerのビジネス全体を2040年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出量を実質ゼロ)にすることを目標に掲げる大胆な施策です。

具体的な施策内容としては、たとえば、食品ロスを防ぐために野菜やフルーツの賞味期限表示を取りやめるといったものがあります。野菜やフルーツなどの生鮮食品は、私たち消費者が実際に「状態」を見たり嗅いだりして自己判断して購入することができるので、あえて売る側が賞味期限を表示する必要性は薄いと考えられるためです。

これは、日本では少し批判が集まってしまいそうな「消費者の腕が試される施策」と言えるでしょう。とはいえ、自己判断で購入し、生食が難しそうだったら必要に応じて調理するといった「臨機応変さ」が、これからの循環型社会では必要不可欠になってくるのかもしれません。

ほかにも、Marks&Spencerはユニークな商品を数多く販売しています。完熟してしまったバナナをケーキなどの調理用としてまとめ、25P(日本円で40円)という安価で販売する「バナナ袋」や、売れ残ってしまったフランスパンをガーリックで味付けし、冷凍食品として再販売する「ガーリックブレッド」は、ユーザーにとても好評だそうです。

以上のような数々の施策から、Marks&Spencerは商品の状態をマイナスと捉えるのではなく、それをプラスにする売り方に秀でていることがわかります。ラグジュアリーな施策ばかりではなく、生活に潤いを与えてくれるようなものだと、私たち生活者にとっても嬉しいですよね。

イギリスに住む人が見る「Marks&Spencer」

ここまでMarks&Spencerの取り組みを紹介してきましたが、実際イギリスの住民にとって、Marks&Spencerはどのように受け入れられているのでしょうか。実際にイギリスで生活しているハーチ欧州の伊藤さんは、サステナビリティの面のみならず、買い物がしやすいスーパーだという印象を持っているといいます。

伊藤さん
「店内のデザインはシックで、とても見やすいんです。「売ろうとしていない」っていう感じでしょうか、探しているものが一番探しやすいスーパーなんですね。サステナビリティの表示も過剰ではなく適切な量なので、とても消費者フレンドリーな印象を受けます。」

しかし、イギリスの中ではMarks&Spencerの価格帯はやや高め。そのため、物価高が世界的な問題になっている今利用を見送らざるを得ないというイギリスの方もいらっしゃるかもしれません。ここの消費バランスは今後の課題とも言えるかもしれませんね。

Marks&Spencerが与える影響

Marks&Spencerは、各方面にさまざまな良い影響を与えています。まず消費者にとっては、「Marks&Spencerに行ったら何かサステナブルな体験ができるかもしれない」「ソーシャルなソリューションを提示している商品を見つけられるかもしれない」といった、アクションのきっかけの場になっています。

また、イギリスの食品・小売業は、業界全体で規制が強まっており、何か施策を打ち出しても内容が伴っていないとすぐ摘発されるような環境なのだといいます。そのなかでも、Marks&Spencerはコツコツと着実に施策を進められている企業であり、業界内のモデルケースになっていると言えるでしょう。

Marks&Spencerから日本企業が学べること

日本企業がMarks&Spencerから学び、実行に移せることは何かあるでしょうか。たとえば、過剰包装の問題はアプローチしやすいかもしれません。日本では衛生面や見栄えの観点から野菜やフルーツにもプラスチック包装を施してから店頭に並べることが多いですが、Marks&Spencerでは合理性を重視し、そのままで売られていることがほとんどだといいます。実際、食品を購入する際にパッケージの有無は満足感にそれほど大きな影響を与えないのではないでしょうか。ここを改善できれば、脱炭素化社会実現にも近づくかもしれませんね。

ライター情報:田邊慶太朗
武蔵野大学 文学部日本文学文化学科卒。大学時代はオウンドメディアを運営する企業のインターンに参加し、主にSDGsを取り扱うWEBマガジンの記事執筆や企画運営に携わった。2023年春にメンバーズに入社し、現在はnoteの運営に携わっている。

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