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脱炭素時代の生活者意識調査|VOL.02『半数近くが再エネ希望?生活者の声とエネルギー事情』

株式会社メンバーズでは、「社会課題の解決」と「ビジネスの成長」の両軸を実現させるCSVマーケティングを支援領域の1つとしており、2015年より『社会課題と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(CSVサーベイ)』を実施しています。

メンバーズは特に注力する社会課題として「気候変動」を挙げており、2022年度は『気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識の調査を行いました。

当「脱炭素時代の生活者意識調査」シリーズでは、CSVサーベイの調査結果について私見を交えながら、いくつかのパートに分けてお届けします。
今回のテーマは「エネルギー」です。

高まる気候変動への意識

最近では、テレビCMや街中の広告などで企業のサステナビリティや脱炭素に向けた取り組みを目にする機会が増え、持続可能な社会を目指す動きが加速化していることが分かります。

その実態は本アンケート結果でも示され、2022年の本調査では、気候変動へ関心を持つ人がはじめて7割を超えるなど、課題への関心が高まっていることがわかりました。
特に高い関心を示した層が多かったのは、20代男性と60代男性。20代男性では気候変動問題について「とても興味がある」と回答した人が21.2%、60代男性では25.9%という結果になりました。

しかし、20代男性はほかの層に比べて「まったく関心がない」という割合も高く、若年層の関心が二極化していることが推察されます。その一方、60代以上では男女問わず8割以上の人が「とても興味がある」「どちらかといえば興味がある」と回答しており、年齢が高まるにつれて関心も高まる傾向にあることが見て取れます。

気候変動とエネルギーの関係

さて、今回のテーマは「エネルギー」ということで、気候変動とエネルギーの関係性をおさらいします。

地球温暖化に代表される気候変動は、CO2をはじめとする温室効果ガスが増加することにより引き起こされています。また、この地球温暖化は「人間活動の影響で起きているということを疑う余地がない」IPCC第6次報告書にて報告されました。

私たちは、経済発展した現代で生活するなかで、実にさまざまなところで温室効果ガスを排出していますが、世界の温室効果ガス排出の大きな原因は、「化石燃料の燃焼」に由来すると言われています。日本で排出される温室効果ガスは9割がCO2ですが、これらは93%がエネルギー起源となっており、エネルギーと気候変動の関係が深いことがわかります。

出典:JCCCA 4-04 日本の部門別二酸化炭素排出量(2020年度)

生活者のエネルギー事情への関心は?

では、生活者のエネルギーに対する普段の行動や意識はどうでしょうか?
本調査にて、気候変動に関する普段の行動について質問したところ、「節電をしている(こまめに電気を消す、気温の設定温度に配慮している)」という項目に対して、「常にそうしている」と回答した人は41.4%、「時々そうしている」と回答した人が43.9%であり、合わせて85.3%の人が節電を意識して実際に行動していることがわかりました。

昔から節電が呼びかけられていることもあり、多くの人に節電の意識が根付いていることがわかります。

次に、エネルギーの種類はどうでしょうか?
電力会社の利用状況について質問したところ、環境に配慮した電力会社を利用していると回答した割合は15%に留まりました。しかし、「今は利用していないが、今後利用したい」と回答した人は44%にのぼり、再生可能エネルギーを主電源とする電力会社の潜在的なニーズが高いことがわかります。

生活者はエネルギーの変換を求めている

また、企業の気候変動への取り組みとして「再生可能エネルギーの利用をしてほしい」という生活者の声が挙がっていることも明らかになりました。
本調査で「気候変動への取り組みとして企業に注力してほしいこと」を聞いたところ、「長期使用を考えた商品開発」「梱包や資材への配慮」に続き、「再生可能エネルギーの利用」があがりました。その数は「とても注力してほしい」「どちらかといえば注力してほしい」という回答を合わせると約77%を占め、多くの生活者が企業の取り組みとして再生可能エネルギーの活用に注力して欲しいという意向であることがわかります。

また、上位2項目である「長期使用を考えた商品開発」や「梱包や資材への配慮」は、買った商品を長く使える、すぐゴミとなってしまう梱包材が減るなど、生活者にとっては経済的メリットやゴミを減らせるという利点もあります。生活者にとってより暮らしやすくなる取り組みであると同時に、企業にとっても循環経済型ビジネスである「サーキュラーエコノミー」を行ううえで、取り組むべき本質的なものであると言えます。

より長く使える商品づくりの例としては、物理的な耐性をあげるデザインをはじめ、メンテナンスや修理、アップグレードを視野にいれたモノづくりをすること、補修や修理のサービス提供などが挙げられます。また、繰り返し使用できる梱包材は、何度でも使うことができるものを利用するほかにも、廃棄品の再利用やサステナブルな素材の利用なども検討できます。
このことから、企業にはサーキュラーエコノミーへの転換が求められていることが明白であり、それに向けた取り組みはエネルギーの利用量を減らす「脱炭素化」につながる施策にもなり得ます。

これからの私たちとエネルギー問題

2023年の年明け以降、日本でも電気代の高騰が続いています。読者の皆さまのなかにも、電気代の明細を見て驚かれた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

欧州ではウクライナ侵攻の影響もあり、エネルギー価格の高騰が著しく、フランスではテレビで天気予報と同じように電力需要レベルについて報道されるほど、日常生活とエネルギー危機は密接なものとなりました。

気候変動問題を食い止めるべく、「世界の平均気温の上昇を『1.5度』に抑える」という共通目標のもと、各国は脱炭素社会に向けて大きく舵を切り始めています。欧州では、エネルギー不足と脱炭素化への背景が相まって、エネルギー自給率の向上や化石燃料由来のエネルギーから再生可能エネルギーへの転換が加速化しています。

1.5度目標を掲げ、カーボンニュートラル社会を目指すなか、日本もエネルギー分野において、急速かつ大胆な変革と対応が求められそうです。

※今回紹介した、2022年度のCSVサーベイ調査結果のフルレポートは、以下からダウンロードいただけます。

ライター:中村 優花
2020年メンバーズ新卒入社。大手銀行のユーザー調査の業務や、企業とNPOの共創プロジェクトに従事したのち、現在は企業の社会課題解決型マーケティング支援を担当。関心のあるテーマは、「気候変動」「自然の保全」「生物多様性」など。

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