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グラフィカルなサイトはCO2排出量が多い!?Webサイトの作り手視点で考える「サステナブルWebデザイン」

※本記事はメンバーズサイトにて掲載したコラムのアーカイブです

Webサイトから年間どのくらいのCO2が排出されているかご存じですか?
持続可能な社会の実現を目指す今、その排出量は無視できないものになっています。Webサイトの制作に関わっている方は、WebサイトのCO2排出量を計測できるサービス「Website Carbon Calculator」で一度計測してみてください。

この記事では、そのCO2排出量を0.1gでも減らすためにすべきことを、作り手の視点でご紹介します。


WebサイトはどのくらいのCO2を排出している?

私たちの生活に必要不可欠となっているインターネット。皆さま毎日どこかしらのWebサイトを訪問しているのではないでしょうか。しかし、生活をしているなかで「このWebサイトのCO2排出量はどのくらいなのだろう」と考えることはそうそうないと思います。これを機に、インターネット汚染について考えてみましょう。

月間1万PVのサイトから一年間で排出されるCO2の図

WebサイトのCO2排出量を計測できるサービス「Website Carbon Calculator」によると、平均的なWebサイトでは1PVあたり1.76gのCO2が排出されているとのことです。つまり、月間1万PVのサイトであれば、年間で211kgのCO2を排出しているということになります。211kgのCO2というのは、500mlのペットボトル約21.1万本分の体積と同じくらいの量です。

インターネット上には、数多くのWebサイトが存在していることから、年間でかなりのCO2を排出していることが分かると思います。地球や環境の負荷を考え、脱炭素社会を目指すためにも自分たちに何ができるのか、Web制作に携わる方はぜひとも、Webサイトから排出されるCO2について考えてみてください。

Webサイトの作り手視点で私たちが考えるべきことは?

Webサイトの作り手視点として、知っていただきたいのが「サステナブルWebデザイン」です。

Webサイトのデザインや構造を見直すだけでも、CO2排出量の削減が期待できます。今回はサステナブルWebデザインを考える際の、最低限のデザイン設計とコンテンツ設計についてをご紹介します。

①その目を惹くデザインは本当に必要?

デザインに凝って、写真やアニメーションなどを多用していませんか?素材のデータサイズが大きくなればなるほど、読み込みに必要なエネルギーが増え、CO2の排出量が増加します。

CO2排出量を抑えることも重要ですが、デザインを妥協したくないという方もいますよね。ここで、CO2の排出量が考慮されている『フォルクスワーゲン』のページを見てみましょう。

とてもスタイリッシュなデザインですが、背景にある自動車、これは画像ではなく、すべて文字で作られています。そんなフォルクスワーゲンのWebサイトは、1PVあたりのCO2排出量が0.65g。平均的なWebサイトでは1PVあたり1.76gのCO2が排出されていると考えると、かなり少ない排出量であることが分かります。このように、デザインを妥協しなくても工夫次第でCO2の排出量を減らせます。

②使用する色のエネルギー消費量を意識している?

色別によるエネルギー消費量の違い

使用する色によって、スクリーン照明に必要なエネルギーに差があります。使用するディスプレイによってもエネルギーの消費量は異なりますが、LEDでの消費電力を比較すると青や白が大きく、赤や黄、緑の方が比較的小さくなります。色のコントラスト比など、アクセシビリティにも考慮する必要がありますが、消費エネルギーを減らしCO2排出量を抑えるには、青や白を避けるのが良いでしょう。

③書体やフォントを使いすぎていない?

複数の書体や複数のフォントサイズを利用すると、エネルギーの消費量が増加するだけではなく、サイト自体のパフォーマンス低下の要因になります。そのため、複数の書体やフォントの使用は必要最低限に抑えましょう。また、カスタムフォントの使用も控えめにし、デバイスフォントを利用するようにしましょう。

④不要になった部分やページが残ったままになっていない?

コンテンツが溢れていると、ユーザーが求めているコンテンツを見つけづらくなります。ページを遷移すればするほどCO2が排出されてしまうため、最短ルートでコンテンツが見つけられるよう、不要になった部分やページは削除し、シンプルなページ構造にしましょう。

⑤コンテンツの目的は明確?分かりやすい?

コンテンツの目的が明確で、理解しやすいものであれば、ユーザーが色々なサイトを見て探し回る必要がなくなります。また、ユーザーに必要な回答をすばやく提供できる「FAQ」や「よくあるお問い合わせ内容」の項目を用意することも、ユーザーによる必要以上のサイト回遊を抑えることができるため、CO2の削減につながります。そのためにも、コンテンツ戦略とユーザー調査は十分に行うようにしましょう。

環境に優しいサイト≒ユーザーにとっても使いやすいサイト

ご紹介した、CO2の排出量を抑えるために最低限考えていただきたいのは以下の5項目です。

  1. その目を惹くデザインは本当に必要?

  2. 使用する色のエネルギー消費量を意識している?

  3. 書体やフォントを使いすぎていない?

  4. 不要になったページが残ったままになっていない?

  5. コンテンツの目的は明確?分かりやすい?

以上の5項目は、アクセシビリティを考慮したり、コンテンツの見つけやすさを考慮したりと、ユーザーにとっても使いやすいサイトにつながります。ユーザーが使いやすいサイトになれば、SEO対策にも有効です。

地球だけでなく、ユーザーや企業にも良いことばかりの「サステナブルWebデザイン」。ぜひ、Webサイトのデザインやコンテンツ設計を考える際の参考にしてみてください。

参考:Sustainable Web DesignWebsite Carbon Calculator

ライター:黒澤 海風
2021年4月入社。コーディングやディレクションなど、幅広く勉強中。

※この記事の情報は2022年03月09日メンバーズコラム掲載当時のものです

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