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「日本で一番地域に価値を届ける航空会社」 オリエンタルエアブリッジ:Social Good Company #29

※この記事の情報は2019年03月20日メンバーズコラム掲載当時のものです

長崎県を拠点に、対馬・壱岐・五島を結ぶ地域エアライン オリエンタルエアブリッジ。掲げる企業ビジョンは、『日本で一番地域に価値を届ける航空会社』です。

就航エリアの世界遺産認定や持続可能なバイオジェット燃料の導入等、社名の一部のキーワードの通り、地域を繋ぎ未来への架け橋を担う該社にお話を伺いました。

  • 「共創」を武器に、売上高は過去最高を更新

  • 地域共創推進室は、「共創」実現のための大きな原動力

  • 自治体や企業との連携により地域の魅力や価値を伝え地域に貢献

<インタビューにご協力いただいた方>
オリエンタルエアブリッジ株式会社 常務取締役
山村 宗 さま

● はじめに会社のご紹介をお願いします。

私たちオリエンタルエアブリッジ(以下、ORC)は、長崎空港を拠点に、離島路線の持続可能な運航の実現に寄与することを目的として1961年に長崎航空として設立、2001年に現在の社名に変更しています。現在は、長崎空港を拠点に、対馬・壱岐・五島の各離島を結ぶエアラインとして航空事業を担っています。

● 「日本で一番地域に価値を届ける航空会社」という企業ビジョンがとても印象的です。

地域エアラインの使命として、私たちは地域の方々に喜ばれ、地域とともに成長していかなければなりません。そうした考えを実現するために、地域共創推進室という新しい部署も設置しました。自治体との連携を強化し、地域活性化の取り組みに積極的に取り組んでいます。

自社だけではなく、様々な方々とともに地域を活性化させるという想いを込めて、部署名に「共創」というキーワードを盛り込みました。

● 地域エアラインにとって、地域の人口が増え活性化することは、搭乗者確保の側面からも事業にも直結します。

これまでは、移住者やインバウンドを増やすための施策等、ORCが自治体から何かを相談されるようなことはまったくありませんでした。しかし、地域活性化を専門に進める部署を作ったことで、自治体との連携やORCの機内での地方活性に関するPRの要望などの声が以前よりは増えてきているのを感じています。

そういった意味では、ビジョンや企業コンセプトの刷新は大きな成果を上げています。

● 共創というキーワードの発信と取り組みが好循環となっています。

地域のエアラインとして、そうしたコンセプトを打ち出したことで、従業員にとっても、今まではなんとなく意識していた地域貢献への意欲も上がったと思いますし、国や自治体との取り組みを進めやすくなったと感じています。

その結果、コンセプトに共感していただき飛行機を選択していただけるお客さまも増えて、売上増に繋がったと考えています。「人をつなぐ、長崎をと結ぶ。」というキャッチコピーもWebサイトで前面に打ち出し、これまでの事業ドメイン以外の取り組みも積極的に進めていきます。

● コンセプト・メイキングやWebサイトのリニューアルは、まさに貴社と弊社との共創により実現したプロジェクトだったと感じています。

リニューアルしたWebサイトでは、島旅の魅力を伝える情報を画像や動画で発信していますが、身近な観光スポットや街並みの景色が動画になり地域の方々にもとても喜ばれています。地域版ではありますが、大手の新聞社にも採り上げていただきました。

●共創ということでは、ミドリムシの研究開発で知られる株式会社ユーグレナ(以下ユーグレナ社)との資本提携も行っています。

ユーグレナ社とは、資本業務提携に合意し、バイオジェット燃料による有償フライトの実現や離島地域の活性化に向けて協力していきます。バイオジェット燃料は、2020年以降に、地域航空初のバイオジェット燃料を使用した有償フライト実現に向けて取り組みを進めています。

海外では既にバイオジェット燃料による有償フライトが実現していますが、ユーグレナ社は、国内初のバイオ燃料開発に向けて、神奈川県横浜市に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントをつくりました。

地球温暖化の原因の1つに航空機が排出するCO2がありますが、バイオジェット燃料にすることにより、CO2も大幅に削減することができます。

● 地域活性化とユーグレナ社との関連性が少し分かりづらいのですが?

ユーグレナ社は、沖縄県 石垣島における地域振興を目的として、日本最南端のアーケード商店街や離島フェリーターミナルのネーミングライツを取得してきた実績もあり、地域活性化にも真剣に取り組む企業です。

ORCとの取り組みでは、27万人を超えるユーグレナ社の定期購買顧客向け会報誌にて、ORCの就航地である長崎県の離島地域を訪れる旅行ツアーをご紹介いただきました。

地域エアラインとして地元には根付いていますが、全国ではORCの認知度は低いため、自治体やユーグレナ社などの企業との連携により、様々な取り組みを進め全国での認知度を上げて行きたいと考えています。

● 日本を訪れる外国人観光客は順調に増えていますので、国内に加え、海外への積極的なプロモーションは非常に効果が高そうです。

韓国や中国等、東アジアエリアからの観光客は今後も積極的に取り込みたいと思います。現在、対馬には韓国からの観光客が年間40万人を超え、今後も観光客誘致を進めていきます。長崎県対馬振興局と弊社の地域共創推進室は共同で韓国へも出張し、具体的な取り組みを進めています。

釜山~対馬間のフェリーは往復1万円程度でチケットも買えますので、手軽な海外旅行として韓国人にも大変人気があります。弊社としては、対馬に来られた観光客にORCに搭乗し、長崎や他離島へ足を伸ばしていただきたいと思っています。

五島や壱岐にも魅力的な観光スポットはたくさんありますので、認知度を高めることにより、対馬以外の離島へも今後、多くの海外からの観光客が見込めると思います。

● 長崎県はこの度、世界遺産にも登録されました。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連資産」が世界文化遺産として登録されました。長崎・熊本 両県にまたがるエリアで、世界遺産登録により、国内外からの観光客も大幅に増えています。

ORCのWebサイトでもそうした情報を積極的に発信していきたいと思いますし、魅力的なスポットが満載ですので、たくさんの皆さんに足を運んでいただきたいと思います。

● 最後に改めて地域エアラインとしての今後の展望をお聞かせ下さい。

航空会社のWebサイトとして、航空券の予約や購入といった基本的な機能は必要です。しかし、チケットの価格や運航に特化した情報だけではなく、地域の価値を伝え、航空会社らしさを消したことが、共創への取り組みが加速化している要因の1つと言えるでしょう。

● 航空会社らしさを消して、地域との様々な取り組みが進み、ビジネス成果も上がっていることは、興味深いことです。

地域活性化や地域還元は私たちにとってとても重要で、大きなテーマとなります。キャッチコピー等で新しい打ち出しをしたことは、地域に根差した航空会社としては分かりやすく、社内の理解も得られ、進めやすかったと言えます。

今後も様々な方々との共創により、『日本で一番地域に価値を届ける航空会社』として、チャレンジしていきます。

ライター:萩谷 衞厚
2015年5月メンバーズ入社。様々なCSV推進プロジェクトを担当、2018年よりSocial Good Companyの編集長、2022年度からは、アースデイジャパンネットワークの共同代表を務める。

※この記事の情報は2019年03月20日メンバーズコラム掲載当時のものです

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