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脱炭素経営実現に向けたアプローチ #4 Scope3測定に向けた心構え

Scope3測定においての課題を次のように前記しました。

  1. データ収集の複雑さ

  2. データの信頼性

  3. 標準化された計測方法の不在

  4. コストと時間

Scope3測定しないリスクには次のようになります。

  1. 風評リスク

  2. 規制リスク

  3. 財務リスク

  4. オペレーショナルリスク

このような状況下で、Scope3測定を進めようとすると足取りが重くなるのもわかります。真面目な人に限って、次のような葛藤に襲われるはずです。

やったことないScope3測定、
集めるデータの信頼性の精度も高くない、
標準化・確立化された計測方法も存在しない、
その割に、労力、コスト、時間が取られる…。

わかります、その気持ち。
でもそこは次のように「割り切って」取り組むことが重要です。

Better than Nothing.
   測定しないことより測定することがなによりも重要
Nothing ventured, Nothing gained.
           冒険しないと、成長しない。とりあえず行動しよう。

The measurement is for improvement and not for measurement accuracy.
    改善のための測定であり、測定精度を高めるための測定ではない。

世の中には測定精度が高くなくとも、それを測定し分析し発表することに社会的な価値を持っている指標は数多くあります。
天気予報しかり、地震のがけ崩れや津波、大雨による浸水のハザードマップしかりです。

測定値や分析結果の精度が不十分だとしても、いまできる最大限の努力で、信頼できる最大限のデータを集め、分析し発表することにこそ意味と価値があると割り切るのです。

完成精度の低いデータであれ、まずはそれから始めることこそが将来的な測定精度をあげることにつながり、標準化・確立化された計測方法の開発にもつながるはずです。

日本政府は、2030年度の温室効果ガスを2013年度比で46%減らすことを目標に掲げました。その目標を達成するために向けた測定であり、測定精度を高めるための測定ではない。どこをどう改善すべきかを調べる測定であり、合理性・精度を追求するための測定ではない。2030年目標を達成するための測定であり、測定精度を追い求めることが目標ではないのです。だからこそ、「割り切った」測定をよしとすることがとても重要です。

日本人は「割り切る」ことがとても苦手。けれども世界はこの割り切りで突き進んでいます。

さて、次回は、Scope3測定&改善に向けたプロジェクト化について考察してみます。

■脱炭素経営実現に向けたアプローチ シリーズ

#1 脱炭素の基礎知識「GHGプロトコル」
#2 Scope3測定する場合の課題は何か
#3 Scope3を測定しない企業のリスクは何か?
#4 Scope3測定に向けた心構え
#5 Scope3測定&改善に向けたプロジェクト化
#6 関係性を考える・・Scope3削減と循環経済とDX


ライター情報

数藤雅紀
株式会社メンバーズ 脱炭素DXカンパニー
循環経済&サスティナビリティ推進 ラボ所長
ケンブリッジ大学経営大学院循環経済プログラム修了、Global Compact Network Japan サーキュラーエコノミー分科会幹事。もと山一證券。金融・デジタル・DX・循環経済を得意とする。
Note:https://note.com/suto410
Facebook:https://www.facebook.com/Sutoh/


*この記事の情報は 2023年5月メンバーズコラム掲載当時のものです。


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