生物多様性の未来を描くために、LCAが果たす役割とは?
皆さんこんにちは。
メンバーズの「GX人材」による本マガジン。「脱炭素経営」を目指すために必要なプロセスや手法について、読者の皆さんとともに学びを深め、ともに歩んでいきます。
今回の記事では「生物多様性」についてご紹介します。
はじめに
今年の夏は東京でも30度を超える日々が続き、気候変動を身近に感じるようになってきました。
実際、産業革命以前に比べ、地球の気温は既に1.2℃上昇しています。気候変動の影響を受けているのは人間だけではありません。私たちは多くの生物と共に生活をしていますが、気温が1度上昇するたびに生物の消滅が増加していきます。
現状
地球には多様な生物が存在しており、既知の範囲内でも約175万種が存在しています。
「生きている地球指数LPI」という世界自然保護基金(WWF)が隔年で公表する「生きている地球リポート」にある生物多様性の指標では、1970年から2018 年の間に、LPI が平均69% 減少しているとのことです。この指標は、世界各地の陸域、川や湖などの淡水域、海洋に生息する計1686種の野生生物について、約5000の地域個体群を調査し、その個体数の減少率を基に試算したものであり、全体の傾向を示しているものになります。
また、淡水域の野生生物個体群のLPI は平均83%も減少しています。
原因
生物多様性の危機になっている原因は、人間活動によるものが多く影響しています。
開発など人間活動によるもの
市街地化や森林伐採、河川改修、沿岸部の埋め立てや護岸建設、農地の圃場整備などの開発により生物の生育場所が悪化
自然に対する働きかけの縮小によるもの
市部への人口の集中、農林業の衰退により、田や水路を代わりの棲みかとして生き残った種の減少
人間活動によりこれまで個体数が抑えられてきた大型の哺乳類の増加
人間により持ち込まれたものによるもの
人間の移動手段の発達により外来種が増加、在来種の侵略
地球環境の変化によるもの
地球温暖化による環境変化、気候条件の変化により生育に適さなくなった生物の減少
今後
「ネイチャー・ポジティブ」という、自然や生物多様性の損失に歯止めをかけ、むしろ環境にとってポジティブな状態にしていくことで生物多様性の危機を改善しようと目指しています。
具体的な目標としては、2020年比で2030年までに自然をポジティブに転換し、2050年までに完全に回復させるということも掲げています。
LCAとの関係性
生物多様性は、LCA(ライフサイクルアセスメント)の被害評価項目としても組み込まれています。評価の指標にはいくつか種類があり、まだ国際的な合意はされていませんが、生物種の絶滅リスクに基づく評価が主となっています。
PAF(Potentially AffectedFraction):影響を受ける生物種の割合を表す
PDF(PotentiallyDisappeared Fraction):消失する生物種の割合を表す
EINES(Expected Increase in Numberof Extinct Species):生物種の絶滅リスクを表す
まとめ
今回は、生物多様性の現状についてまとめました。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が発足されたりと、生物多様性は世界的に重要視されている観点です。
LCAは地球温暖化への影響だけではなく、生態への影響や大気汚染、資源消費など様々な影響を同時に評価することができます。
メンバーズの脱炭素DXカンパニーでは、LCAの体験算定も行っています。算定時のプロセスやアウトプットをイメージできない方でも、LCAの一連の流れが体験できるパッケージとなっています。ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。
参考
WWFジャパン 生きている地球レポート2022
https://www.wwf.or.jp/activities/lib/5153.html
国立環境研究所 日本の生物多様性を脅かす「4つの危機」
https://www.nies.go.jp/kanko/news/35/35-5/35-5-05.html
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